レトロゾール

レトロゾール：閉経後乳がん治療におけるアロマターゼ阻害薬

レトロゾールは、閉経後の女性におけるエストロゲン依存性乳がんの治療に用いられる医薬品です。その作用機序は、アロマターゼという酵素の働きを阻害することにあります。アロマターゼは、副腎で生成されたアンドロゲンをエストロゲンに変換する酵素です。閉経後は、卵巣からのエストロゲン産生が減少するため、アロマターゼによるエストロゲン産生が主要な供給源となります。レトロゾールはこのアロマターゼを阻害することで、体内のエストロゲン量を減少させ、エストロゲンによって増殖する乳がん細胞の増殖を抑える効果が期待できます。

レトロゾールの効果と臨床試験

閉経後の早期乳がん患者を対象とした臨床試験において、レトロゾールは、従来から使用されてきたエストロゲン拮抗薬であるタモキシフェンと比較して、乳がんの再発リスクを有意に低減することが示されています。このことから、レトロゾールは閉経後乳がんの術後補助療法において重要な役割を果たしていると言えるでしょう。

レトロゾールの副作用

レトロゾールの副作用は、エストロゲン減少が原因となるものが中心です。主な副作用として以下が挙げられます。

血中コレステロール増加: コレステロール値の上昇を引き起こす可能性があります。定期的な検査が必要です。
血栓症: 心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症リスクの上昇が報告されています。注意が必要です。
ほてり: エストロゲン減少による血管運動神経症状として、ほてりを感じることがあります。
頭痛: 頭痛を訴える患者もいます。
肝機能障害: 肝機能に影響を与える可能性があります。定期的な検査が必要です。
疲労感: 倦怠感や疲労感を訴える患者もいます。
骨粗鬆症: エストロゲン減少により骨粗鬆症のリスクが高まる可能性があります。
めまい: めまいを訴える場合もあります。

これらの副作用は、全てが必ず現れるわけではなく、個人差があります。また、副作用の程度も様々です。何か気になる症状が出た場合は、すぐに医師に相談することが重要です。

レトロゾールの代謝

レトロゾールは、主に肝臓の酵素であるCYP3A4またはCYP2A6によって代謝され、グルクロン酸抱合を受けた後、腎臓から排泄されます。特にCYP2A6はレトロゾールの代謝に重要な役割を果たしていると考えられており、この酵素の遺伝的多型（個体差）が、薬物代謝や治療効果に影響を与える可能性が示唆されています。

まとめ

レトロゾールは、閉経後のエストロゲン依存性乳がん治療において有効なアロマターゼ阻害薬ですが、副作用にも注意が必要です。医師の指示に従って正しく服用し、定期的な検査を受けることで、安全に治療を進めることが大切です。 治療を受ける前には、医師と十分に相談し、自身の状況に合った治療方法を選択することが重要です。

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