レドンホール・マーケット

ロンドンの歴史を刻むレドンホール・マーケット

ロンドンのシティ、グレイスチャーチ・ストリートに位置するレドンホール・マーケットは、その歴史と魅力的な景観から、多くの観光客を惹きつけています。ウィッティントン・アヴェニューやライム・ストリートからもアクセス可能で、周辺の狭い路地からも入り込める便利な立地です。

14世紀から続く歴史と伝統

この市場の歴史は古く、14世紀にまで遡ります。ロンドン最古の市場の一つとして、シティの歴史的中心にその存在感を示し続けています。かつては肉類や家禽などを扱う市場として栄え、ローマ時代のロンディニウムの中心地に位置していたという歴史も持ちます。現在では、生鮮食品はもちろん、チーズ、精肉、花、衣料品、文具など、多様な商品を取り扱う店が軒を連ねています。平日は早朝から夜遅くまで営業し、活気溢れる様子は、ロンドンの歴史と活気を肌で感じさせてくれます。

印象的な建築様式と改修

レドンホール・マーケットの現在の姿は、ビリングスゲート魚市場やスミスフィールド市場も設計した建築家、ホレス・ジョーンズによる1881年のデザインによるものです。緑、栗色、クリーム色の装飾が施された天蓋と、美しい床の装飾は、訪れる人々の心を奪います。この美しい建築様式こそ、レドンホール・マーケットが観光地として人気を博している大きな理由の一つです。

市場の正面玄関は、グレイスチャーチ・ストリートに面しています。2階分の高さがある、赤煉瓦とポートランド石の破風を持つ17世紀オランダ様式を思わせる壮麗な入口は、歴史を感じさせます。南側には、小売店が建ち並び、その合間に市場へと続く狭い入口が点在しています。

1990年から1991年にかけて、大規模な改修が行われ、建物の特徴や細部の価値がさらに高まりました。この改修計画は、1994年のシビック・トラスト賞で高く評価されています。また、1972年にはイギリス指定建造物2級に指定されており、歴史的価値が認められています。

映画や音楽ビデオのロケ地として

レドンホール・マーケットは、その独特の雰囲気から、数々の映画や音楽ビデオのロケ地として選ばれてきました。中でも有名なのは、映画『ハリー・ポッターと賢者の石』での使用です。この市場は、劇中の「漏れ鍋」やダイアゴン横丁の近くにあるロンドンの風景として登場しています。他にも、『Dr.パルナサスの鏡』、『ヒア アフター』、『ブラニガン』、『Love Aaj Kal』などの作品や、1991年のイレイジャーの曲『Love to Hate You』のミュージックビデオにも使用されています。

ロンドンオリンピックと現代

2012年のロンドンオリンピックでは、マラソン競技のコースの一部として、ランナーたちが市場の中を駆け抜けるという、歴史的な出来事がありました。ウィッティントン・アヴェニューからライム・ストリートへと続くコースは、現代と歴史が交差する象徴的な瞬間となりました。

レドンホール・マーケットは、歴史、建築、文化が融合した、ロンドンを代表する魅力的な場所です。その歴史と美しさ、そして現代的な活気を肌で感じることができる、忘れられない体験があなたを待っています。

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