レナード・フェザー・プレゼンツ・バップ

レナード・フェザー・プレゼンツ・バップ

『レナード・フェザー・プレゼンツ・バップ』（Leonard Feather Presents BOP）は、著名なアメリカのジャズ評論家でありプロデューサーでもあるレナード・フェザーが、1957年に自ら監修して世に送り出した、ビバップ・スタイルのジャズ・アルバムです。この作品は「Leonard Feather Presents 52nd Street」という別タイトルでも知られています。

企画と背景

このアルバムは、アメリカ西海岸を拠点とするレコード会社、モード・レコード（Mode Records）で制作されました。企画の根底には、ジャズ史における革新的なムーブメントであった「ビバップ」への深い敬意、すなわちトリビュートがあります。レナード・フェザーは当時、ビバップが単なる音楽スタイルとしてだけでなく、奇抜なファッションや個性といった側面のみが強調され、流行語のように軽々しく扱われる風潮に対し、本来の音楽的な意義を再び問いたいと考えていました。

このような目的を果たすため、フェザーはビバップ期を代表する楽曲を、発表当時のオリジナルに近い編曲で演奏することを計画しました。演奏者には、ビバップの影響を強く受け、自身のスタイルを確立していた優れたミュージシャンたちを選抜しました。

レコーディング

レコーディングは1957年8月、ニューヨークで行われました。中心となったのは、ピアニストのジョージ・ウォーリントンとそのレギュラー・クインテットのメンバーです。当時のビバップ全盛期、ニューヨークの有名なクラブが立ち並んでいた52丁目界隈では、ギグの締めくくりとして頻繁に演奏された「52丁目のテーマ」でアルバムは感動的に締めくくられています。

フェザー自身が執筆したライナーノーツには、このアルバムにかける思いが綴られています。

「この作品が『バップ』という名で発表される最初のアルバムであることは、現在レコード店に1000枚を超えるジャズ・アルバムが並んでいる現実を考えると、皮肉に感じられるかもしれません。しかし、これはまさに満を持しての登場です。…ここで耳にする音楽は、かつて52丁目にあった、あの古いクラブの雰囲気を彷彿とさせてくれるでしょう。」

アートワーク

アルバムのジャケットデザインも特筆すべき点があります。フロントカバーには、モード・レコードの作品を多く手がけたウィリアム・ボックスによる、トランペッターのディジー・ガレスピーのイラストが採用されています。ただし、ガレスピー自身はプレイヤーとしてはこのアルバムの制作には関与していません。バックカバーには、レコーディングが行われた際にスタジオを訪れていた、サックス奏者チャーリー・パーカーの未亡人であるチャンと息子ベアードの姿を、写真家ボブ・パレントが捉えた写真が使われています。ライナーノーツはフェザー自身が執筆していますが、曲目やクレジットの一部に誤りが指摘されているとも言われています。

リイシュー

このアルバムは発表後、何度か再発売されています。特に1959年には、インタールード・レコード（Interlude Records）から「Leonard Feather Presents 52nd Street」とタイトルを変え、ジャケットデザインも一新して再リリースされました。この再発盤では、従来のモノラル盤に加えて、初めてステレオ盤も登場しました。初のCD化は1991年で、この時はモノラル盤での発売となりました。

評価

日本においては、ジャズ専門誌「スイングジャーナル」のゴールドディスクに選定されるなど、高い評価を受けています。

収録曲

オリジナル・アルバム・カバーに記載されているタイトルに基づきます。括弧内は作者名です。

SIDE：A

1. Little Benny (Benny Harris)
2. Be Bop (Dizzy Gillespie)
3. Lemon Drop (George Wallington)
この曲で聴かれるスキャットは、フィル・ウッズとサド・ジョーンズによるものです。
4. Ornithology (Charlie Parker)
5. Anthropology (Charlie Parker)

SIDE：B

1. Salt Peanuts (Dizzy Gillespie)
この曲で聴かれる声は、チャーリー・パーカーの息子、ベアード・パーカーによるものです。
2. Groovin' High (Dizzy Gillespie)
3. Shaw 'Nuff (Dizzy Gillespie)
4. Billie's Bounce (Charlie Parker)
5. Hot House / 52nd Street Theme (Tadd Dameron, Thelonious Monk)

クレジット

オリジナル・アルバム・カバーの表記に基づきます。

George Wallington ：Piano
Idrees Sulieman ：Trumpet（SIDE：A）
Thad Jones ：Trumpet（SIDE：B）
Phil Woods ：Alto Saxophone
Curly Russell ：Bass
Denzil Best ：Drums（SIDE：A）
Art Taylor ：Drums（SIDE：B）
Recorded on August 1957, New York, N.Y.
Earle Brown：Engineer
Eugene Thompson：Engineer
William Box：Cover Design
Bob Parent：Liner Photography
Leonard Feather：Liner Notes
Cal Freedman ：Cover Design (Reissue)
* George Jerman：Cover Photography (Reissue)

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