レニー・ダイクストラ

レニー・ダイクストラ：栄光と転落の野球人生

レニー・ダイクストラ（Leonard Kyle "Lenny" Dykstra, 1963年2月10日 - ）は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンタアナ出身の元プロ野球選手。メジャーリーグ（MLB）で外野手として活躍し、「Nails」の愛称で親しまれた。

ニューヨーク・メッツ時代：若き日の輝き

1981年のMLBドラフトでニューヨーク・メッツから13巡目で指名されプロ入り。マイナーリーグでの実績を経て、1985年5月3日にメジャーデビューを飾る。ムーキー・ウィルソンとの併用でセンターのポジションを獲得し、1986年には主に一番打者として147試合に出場。打率.295、8本塁打、31盗塁を記録し、チームの地区優勝に大きく貢献した。

特に、ヒューストン・アストロズとのナ・リーグチャンピオンシップシリーズ第3戦でのサヨナラホームランは、彼の名を一躍有名にした。ボストン・レッドソックスとのワールドシリーズでも、第3戦の初回に先頭打者本塁打を放ち、チームを勢いづけた。メッツはこの年、ワールドシリーズを制覇し、ダイクストラもその立役者の一人となった。

フィラデルフィア・フィリーズ時代：スター選手へ

1989年6月、フアン・サミュエルとのトレードでフィラデルフィア・フィリーズへ移籍。当初はトレードに戸惑い成績を落としたものの、徐々にレギュラーに定着し、フィリーズのファンから絶大な人気を博した。1990年にはリーグ最多の192安打を放ち、打率.325（リーグ4位）を記録。オールスターゲームにもファン投票で選出され、初出場を果たした。同年には日米野球で来日もしている。

1993年には打率.305、19本塁打、37盗塁と活躍し、773打席は当時のメジャー新記録を樹立。チームを10年ぶりのワールドシリーズ出場に導いた。ワールドシリーズでは打率.348、4本塁打と活躍したが、チームはトロント・ブルージェイズに敗れた。

相次ぐ故障と引退

ハッスルプレーが持ち味だったダイクストラだが、度重なる故障に悩まされるようになる。1991年には飲酒運転による交通事故、守備でのフェンス激突などで負傷。1994年、1995年とオールスターに出場するも、いずれも故障でシーズンを終え、1996年に33歳という若さで現役を引退した。

引退後：転落と逮捕

引退後は投資家として成功を収めた時期もあったが、2009年に連邦倒産法を申請。2011年には自動車窃盗や書類偽造などの罪で起訴され、禁錮刑を科せられた。また、求人募集した女性への暴行や脅迫など、数々の犯罪行為が明るみになり、社会的な信用を失った。2018年には、Uberの運転手を銃で脅した容疑で逮捕されている。

薬物問題

2007年に発表されたミッチェル報告書で、現役時代のステロイド使用が指摘された。ダイクストラ自身も後に、禁止薬物の使用を認めている。

選手としての特徴

積極的な走塁とハッスルプレーが持ち味
勝負強い打撃でチームに貢献
ファンを魅了するカリスマ性

成績

通算成績は以下の通り。

出場試合数：1269
打率：.268
本塁打：79
打点：404
盗塁：285

受賞歴

オールスター出場：3回（1990年、1994年、1995年）
シルバースラッガー賞：1回（1993年）

レニー・ダイクストラは、その華々しい活躍とは裏腹に、引退後の転落人生が大きくクローズアップされる人物である。しかし、メッツとフィリーズのファンにとっては、記憶に残る名選手の一人であることは間違いない。

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