レミフェンタニル

レミフェンタニルについて

レミフェンタニル（Remifentanil）は、超短時間作用の強力な合成オピオイド鎮痛薬です。これは主に全身麻酔の導入や維持に伴う鎮痛に用いられ、商品名「アルチバ」や後発医薬品として市販されています。オピオイド系薬剤の中では最も作用時間が短く、その特性により術後の覚醒遅延リスクを大幅に低下させることができるため、麻酔科の臨床で重宝されています。しかし、その強力な鎮痛効果に対し、単独では鎮静作用が劣るため、他の薬剤との併用が不可欠です。

使用分野

レミフェンタニルは開頭手術、脊椎手術、心臓手術、肥満手術など多岐にわたる手術で使用されています。通常のオピオイド（例：モルヒネ）と比較して、術後の回復時間を改善する能力が高いのが特徴です。さらに、近年では2022年に集中治療室における人工呼吸を受ける患者への適用も広がりました。

作用と投与方法

レミフェンタニルは、静脈内投与でのみ使用され、通常体重1kgあたり0.1µg〜1µgの範囲で投与されます。小児では、必要に応じて投与量が調整されることがあります。最尤値として2µg/kg/分までの使用が推奨されています。特に注目されるのは、TIVA（全静脈麻酔）技術を使用して、患者の血漿中濃度に応じた注入が可能な点です。

レミフェンタニルは、半減期が短く、所望の血漿中濃度を迅速に達成できるため、術後の回復も早く、特殊な条件下（例：帝王切開）でも有効です。従来のオピオイドは投与時間が延びるにつれて薬物効果が持続することが多いですが、レミフェンタニルはこの問題を克服しています。

副作用と安全性

レミフェンタニルの使用にあたり注意すべきは、その副作用です。主な副作用には、心拍数低下、呼吸抑制、血圧低下、筋硬直などがあり、これらは投与の用量に依存します。特に、腕には使用後の適切な術後回復策が必要です。一般的に、レミフェンタニルの半減期が短いため、投与中止後は副作用も迅速に解消されます。

また、吐き気のような副作用も一時的なものであり、モルヒネよりは少ないとされていますが、一定の注意が求められます。また、過剰使用や乱用のリスクは低いものの、いくつかの報告もされており、用いる際の注意は必要です。

製剤と保管

レミフェンタニルは粉末形態で販売されており、生理食塩水などで希釈し、経静脈的に投与します。すべての製剤には安定化剤としてグリシンが含まれていますが、神経毒性があるため、硬膜外などへの直接投与は禁止されています。

最後に、レミフェンタニルは、臨床での革新をもたらしたオピオイド薬剤の一つであり、特に麻酔においてその独自の特性が広く利用されています。その効能を最大限に活かすためには、慎重な管理と知識の普及が求められています。

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