レンゲツツジ

レンゲツツジ（蓮華躑躅）

レンゲツツジ（学名: Rhododendron molle subsp. japonicum）は、ツツジ科ツツジ属に分類される落葉低木であり、美しい花を咲かせますが、同時に有毒植物としても知られています。和名の由来は、枝先に輪状に咲く花の様子が蓮の花を連想させることから名付けられました。別名として「ウマツツジ」や「ベコツツジ」とも呼ばれています。

分布と生育地

レンゲツツジは、北海道南西部から本州、四国、九州にかけて広く分布しています。主に高原などの日当たりの良い草原や湿地に群生しているのが見られます。

特徴

形態: 高さは1 - 2メートルほどで、株立ち状によく分枝し、こんもりとした茂みを作ります。樹皮は灰褐色から茶褐色で、浅い縦筋が入り、老木になると薄く剥がれるようになります。
葉: 葉は互生し、長さ5 - 10センチメートルの倒披針形をしています。秋には黄色から赤色に紅葉し、その美しい色彩が目を引きます。
花: 花期は春（4 - 6月）で、新葉の展開と同時に開花します。前年枝の先に短い総状花序を出し、2 - 8個の花を咲かせます。花は直径5 - 6センチメートルのロート状で、鮮やかな朱橙色をしています。花の色には濃淡があり、濃紅色のものも見られます。また、鮮黄色の花を咲かせるキレンゲツツジという品種も存在します。
果実: 果期は10 - 11月で、長さ2 - 3センチメートルの円筒状の蒴果をつけます。熟すと5つに裂け、小さな種子を散布します。
冬芽: 頂芽のうち花芽は特に大きく、長さ8 - 15ミリメートルで卵形、先端が尖り、赤褐色の光沢のある芽鱗に覆われています。葉芽は長さ6 - 10ミリメートル程度で、花芽よりやや小さく、側芽はさらに小さいです。
1つの花芽から2～8個の花が咲きます。

毒性

レンゲツツジは全株に毒性があり、特にジテルペンのグラヤノトキシンやロドジャポニンなどの痙攣毒を含んでいます。これらの毒素は呼吸停止を引き起こす可能性があり、注意が必要です。家畜である牛や馬にとっても有毒であり、「ウマツツジ」や「ベコツツジ」という別名は、これらの動物に害を与えることに由来します。レンゲツツジの蜜を子供が誤って摂取する事例もあり、非常に危険です。トルコ産の蜂蜜で中毒例が報告されているため、養蜂業者はレンゲツツジの自生地での蜂蜜採取を避けるなどの対策を講じています。

利用

レンゲツツジは、庭木として広く利用されています。朱色の花だけでなく、黄色の花を咲かせる品種も人気があり、庭園の定番として親しまれています。また、その独特な朱橙色の花は、生け花などの花材としても利用されています。

文化

レンゲツツジは、群馬県の県花として指定されています。また、山梨県の三窪高原は、10万株ものレンゲツツジが群生する名所として知られています。長野県東御市と群馬県嬬恋村に跨る湯の丸高原・地蔵峠周辺は、約60万株のレンゲツツジが自生する湯の丸レンゲツツジ群落として、国の天然記念物に指定されています。栃木県矢板市では、レンゲツツジを市の花としており、高原山（八方ヶ原高原）には約20万株のレンゲツツジが群生しています。

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