レヴェラーズ・チンドン

概要

『レヴェラーズ・チンドン』（LEVELERS CHING-DONG）は、日本の音楽ユニット、ソウル・フラワー・モノノケ・サミットが1997年10月26日に発表したセカンド・アルバムです。前作『アジール・チンドン』に続く作品としてリリースされました。

背景と制作

このアルバムは、前作の発表以降の彼らの活動が色濃く反映された一枚となっています。特に、阪神淡路大震災の被災地へ赴き、慰問演奏を続けた活動をさらに発展させ、音楽を通じた社会との関わりを深めていきました。日雇い労働者の街、障害者のためのイベントなど、様々な「現場」でのライブ活動を展開。さらに、国際交流NGOピースボートに乗船し、北朝鮮、香港、ベトナム、フィリピンといったアジア各地でも演奏を披露するなど、その活動範囲は国内外へと大きく広がりました。

こうした精力的な活動を通じて、ソウル・フラワー・モノノケ・サミットは、母体であるソウル・フラワー・ユニオンから派生した単なるプロジェクトではなく、独自の「別働隊」としての存在感を確固たるものにしました。

収録楽曲の特徴

活動の「現場」が広がった経験は、そのままアルバムの音楽性に反映されています。前作には見られなかった、朝鮮民謡、沖縄民謡、日本の各地の民謡、さらには革命歌や明治・大正期の流行歌など、多様なルーツを持つ楽曲が多数収録されました。これにより、アルバム全体として一層ワールドワイドで、日本の近代音楽史やアジア各地の音楽までを視野に入れた、非常に豊かな内容となっています。

収録曲の中で特筆すべきは、革命歌「インターナショナル」です。この楽曲は、アルバムに収められた中で唯一のスタジオ録音であり、その完成度の高さから、特にヨーロッパにおいてワールド・ミュージック系の様々なコンピレーションアルバムに繰り返し収録されています。結果として、「インターナショナル」はソウル・フラワーの楽曲の中でも、ヨーロッパで最も広く知られる一曲となりました。

アルバム情報

アルバムタイトルの「レヴェラーズ」は、17世紀のイングランド内戦期に活動した平等主義的な政治運動家たちの呼称であり、「水平主義者たち」という意味を持っています。これは、彼らの音楽が特定の枠に囚われず、様々な人々や文化、歴史と水平につながろうとする姿勢を示唆しています。

また、アルバムジャケットを飾る写真は、日本の著名な写真家である田沼武能によって撮影されたものです。

収録曲

アルバムには以下の楽曲が収録されています。

インターナショナル INTERNATIONAL
革命歌、1871年に誕生した楽曲。
ハイカラソング HIGH COLLARSONG
壮士演歌、神長瞭月によって1909年に発表された楽曲。
水平歌～農民歌～革命歌 SUIHEI-KA -NOUMIN-KA -KAKUMEI-KA
水平歌は1923年、農民歌は1922年、革命歌は1909年に発表された楽曲のメドレー。
アリラン ARIRANG
朝鮮半島を代表する民謡。
ダンチョネ節（特攻隊節）～ピリカの唄 DANTYONE-BUSHI -PIRKA
神奈川県に伝わる民謡「ダンチョネ節」（特攻隊節）と、アイヌの民謡「ピリカの唄」のメドレー。
安里屋ユンタ ASADOYA-YUNTA
沖縄県八重山地方を代表する民謡。
弥三郎節 YASABURO-BUSHI
青森県津軽地方に伝わる民謡。
もずが枯木で MOZU GA KAREKI DE
茨城県に伝わる民謡。
カチューシャの唄 SONG OF KATYUSHA
1914年に発表された日本の流行歌。
むらさき節 MURASAKI-BUSHI
壮士演歌、添田唖蝉坊によって1910年に発表された楽曲。
蒲田行進曲 THE MARCHING SONG OF KAMATA
1925年に発表された日本の流行歌。
有難や節 ARIGATAYA-BUSHI
守屋浩によって1960年にカバーされヒットした流行歌。
さよなら港 SAYONARA MINATO
藤島桓夫によって1956年に発表された流行歌。

これらの楽曲を通じて、『レヴェラーズ・チンドン』は、ソウル・フラワー・モノノケ・サミットが、様々な歴史や文化、そして人々の生活に寄り添う音楽を追求する姿勢を示す重要な作品となっています。

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