レーザー交戦装置

レーザー交戦装置（バトラー）について

レーザー交戦装置、通称「バトラー」は、自衛隊における訓練で使用される、実弾を用いずに模擬戦闘を体験できる画期的なシステムです。この装置は、銃器に取り付けたレーザー発射機と、受光機で構成されており、レーザー光線が命中すると被弾を判定します。

概要

バトラーは、小銃だけでなく、機関銃、無反動砲、戦車、攻撃ヘリコプター、対戦車ミサイルなど、さまざまな装備に対応しています。発射機から発射されたレーザーを受光機が感知し、命中を判定する仕組みです。戦車などの車両では、射撃時に擬似的な発射音や煙を発生させ、より実戦に近い状況を再現します。弾数は訓練内容によって制限があり、無制限ではありません。レーザー発射機を武器に取り付けた後は、照準の調整（ゼロ点規正）が必要です。

自衛隊での運用

自衛隊では、統裁室と呼ばれる指揮司令部で、訓練部隊や隊員の位置、負傷者数などの情報をリアルタイムで監視・記録しています。富士トレーニングセンターでは、対抗部隊と交戦する訓練にバトラーが使用されています。このシステム導入により、従来の情に左右されていた命中判定が厳格化され、訓練の質が向上しました。戦術行動がより現実的なものへと改善され、訓練効果を最大限に引き出すことに貢献しています。

新旧モデルの特徴

バトラーには旧型と新型があり、それぞれ仕様が異なります。旧型は旧迷彩色の生地を使用しており、被弾状況は背中のブザーで判断します。一方、新型は新型迷彩色の生地を使用し、被弾状況は左胸ポケットの簡易モニターに表示されます。新型では、留め具がワンタッチ方式になり、着脱が容易になりました。また、頭部センサーも新型迷彩に変更されています。FTC訓練では、砲弾着弾現況装置が設置されており、被弾時には音と煙で状況が示されます。

装備火器の特性

訓練では、弾数設定装置により、各火器に規定の弾数が設定されます。例えば、64式7.62mm小銃は120発、89式5.56mm小銃は180発、84mm無反動砲は4発が基本設定です。小銃には、先端にスピーカーが内蔵されたアタッチメントを取り付けることで、空包を使わずに擬製発砲音とレーザーによる訓練が可能です。

指揮司令部の特徴

旧型のシステムでは、富士通FMRシリーズ2台をMS-DOSで稼働させていました。リアルタイムでの記録は可能ですが、別途集計PCが必要になる場合がありました。

主な使用訓練

バトラーは、各方面隊・師団でのTESC訓練、FTC訓練、部隊でのCT検閲、FTXの総合訓練など、多岐にわたる訓練で使用されています。これにより、より現実的で効果的な訓練が実施されています。

装着可能な装備火器

• - 64式7.62mm小銃: アダプターを介してレーザー発射機を装着。引き金とレーザー照射装置が連動。
• - 89式5.56mm小銃: アダプターを介してレーザー発射機を装着。射撃弾数設定が可能。
• - 機関銃: 銃口部および機関部に専用装置を装着。
• - 84mm無反動砲: 弾薬を模倣したレーザー発射装置を装着。発射時に煙と音を再現。
• - 戦車: 砲口部に現況表示と回転灯を装着。被弾時は回転灯で表示。
• - 高機動車: 受光部、センサー、回転灯を装着。被弾時は回転灯と煙で表示。
• - 迫撃砲: システムに数値を入力し、風向きや射角に応じて被弾状況を表示。
• - 対戦車誘導弾: レーザーで目標を照準し、命中すると現況を表示。

各火器には弾数が設定されており、弾数を使い切ると再設定が必要です。

ギャラリー

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外部リンク

バトラー特集

バトラーは、自衛隊の訓練において、実戦に近い環境で訓練を可能にする重要なシステムであり、隊員の戦術技能向上に不可欠なツールです。

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