レーン＝メイドナー・モデル

レーン＝メイドナー・モデルとは

レーン＝メイドナー・モデル（Rehn-Meidner model）は、スウェーデンの経済政策における重要な枠組みです。このモデルは、1952年にイェスタ・レーンとルドルフ・メイドナーによって提唱され、主にスウェーデン労働組合総連合（LO）が推進しています。モデルの核心には、低インフレ、完全雇用、経済成長、そして所得の平等が掲げられています。これらの目標を達成するために、さまざまな政策手段が設計されています。具体的には、緊縮的な一般経済政策、企業間の同一労働同一賃金を求める連帯的賃金政策、そして積極的な労働市場政策が含まれます。

政策手段とメカニズム

このモデルの基本的な考え方は、ケインズ派経済学からの影響を受けたもので、国家による経済干渉が重要な役割を果たしています。労働市場の流動性を増し、失業者を新たな職場に移動させることで、経済全体の生産性が向上しようとします。

例えば、賃金交渉が集権的に行われる場合、企業間の賃金格差が縮小され、職種内の賃金も設定されます。こうした賃金の平準化は、インフレーションを引き起こさない範囲に抑制されることにより、企業が労働コストをコントロールするのを助けます。この場合、賃金水準が上昇し、労働コストが増加した企業では経営の厳しさが増し、結果として労働者が解雇される可能性があります。

一方で、賃金水準が既に高い企業は利益を増やし、それを再投資に振り分けることが可能です。このとき、政府は積極的な労働市場政策を通じて失業者を吸収し、スムーズに雇用の移転を行う役割を担います。

経済政策の背景

スウェーデンのような小国では、開放経済における国際競争力が経済の健全性に直接影響を与えるため、インフレの抑制が極めて重要です。生産性の低い企業への公共投資や高賃金の推進がコスト・プッシュ・インフレを引き起こし、国際競争力を損なう恐れがあります。レーン＝メイドナー・モデルは、このような事態を避けつつ完全雇用を実現するための方法として機能します。

モデルがもたらした影響

1951年にLOの方針として採択されたレーン＝メイドナー・モデルは、特に1950年代から1970年代にかけての社民党政権下でのスウェーデン社会において非常に重要な位置を占めました。ただし、内需を支える産業の労働組合からの反対のため、完全な中央集権化や同一労働同一賃金の実現には至らなかったことも事実です。それでも、連帯的賃金政策により、職種内の賃金格差は縮小し、賃金水準の抑制がなされました。

最後に

レーン＝メイドナー・モデルは、経済政策における一つの試みとして、スウェーデンモデルの基幹をなすものとなりました。そして、労働市場の流動性や所得の平等を重視するこのモデルは、他の国においても参考にされることが多い思想です。

もう一度検索