ロイス＝ゲーラ侯国

ロイス＝ゲーラ侯国（ドイツ語: Fürstentum Reuß-Gera）は、現在のドイツ、テューリンゲン地方に存在した領邦国家であり、弟系ロイス侯家によって統治されたため、弟系ロイス侯国（独: Fürstentum Reuß jüngerer Linie）とも呼ばれていました。

地理

テューリンゲン地方の東部に位置し、首都はヴァイセ・エルスター河畔の都市ゲーラでした。ドイツ帝国の構成国として、テューリンゲン諸邦と総称される領邦群の一つであり、ロイス家が君主を務める2つの侯国のうちの一つでした（もう一国はロイス＝グライツ侯国）。

テューリンゲン地方は歴史的経緯から各国が大小の飛地を有しており、ロイス＝ゲーラ侯国も例外ではありませんでした。首都ゲーラを含む領域よりも、南方（現在のグライツ郡からザーレ＝オルラ郡にかけて）に広がる飛地の方が広い面積を持っていました。飛地には、シュライツ、ローベンシュタイン、エーベルスドルフといった一族の古い拠点も含まれていました。

ドイツ帝国時代、ゲーラを含む領域は、東と西をザクセン＝アルテンブルク公国の領土に挟まれ、南はザクセン＝ヴァイマル＝アイゼナハ大公国の領土に接し、北はプロイセン王国ザクセン州と接していました。飛地は、同族であるロイス＝グライツ侯国（兄系ロイス侯国）の領域と入り組み、南はザクセン王国と境界を接していました。

歴史

前史：弟系ロイス家の3侯国

16世紀に分かれたロイス家の末弟の系統（弟系ロイス家）は、ロイス＝ゲーラ家を本家として多くの分枝に分かれました。領邦統治者の家門としては、ロイス＝シュライツ家、ロイス＝ローベンシュタイン家、ロイス＝エーベルスドルフ家などがあります。その他、領邦統治者ではない家門として、ロイス＝ケストリッツ家などが出ています。

ロイス＝ローベンシュタイン家が1790年に帝国諸侯に列したのを皮切りに、1806年にはロイス＝エーベルスドルフ家、ロイス＝シュライツ家も帝国諸侯の地位を得ました。この間の1802年、弟系ロイス家の本家に当たるロイス＝ゲーラ家が断絶し、その遺領はロイス＝シュライツ、ロイス＝ローベンシュタイン、ロイス＝エーベルスドルフの3侯国によって受け継がれました。

弟系3侯国は（兄系ロイス家のロイス＝グライツ侯国ともども）1807年にライン同盟に参加、1815年にはドイツ同盟に参加しました。1824年にロイス＝ローベンシュタイン侯国が断絶し、遺領はロイス＝エーベルスドルフ侯ハインリヒ72世が継承しました。

弟系ロイス侯国の成立と消滅

1848年、革命が波及する中で、ロイス＝ローベンシュタイン＝エーベルスドルフ侯ハインリヒ72世が退位し、主権をロイス＝シュライツ侯ハインリヒ62世に譲渡しました。これによりハインリヒ62世は、弟系ロイス家諸家の領土を統合することとなり、新たにゲーラを首都とする弟系ロイス侯国（ロイス＝ゲーラ侯国）を創設しました。ハインリヒ62世は近代憲法を制定し、立憲議会を開くなどの改革を行いました。

兄の跡を継いだ2代侯ハインリヒ67世は、1866年にプロイセン王国と同盟を結び北ドイツ連邦に加盟。1871年、3代侯ハインリヒ14世の時にドイツ帝国の構成国となりました。

同族の隣邦ロイス＝グライツ侯国を1902年に継いだハインリヒ24世は心身に障害を抱えていたため、ハインリヒ14世が摂政としてロイス＝グライツ侯国を実質的に治め、ハインリヒ27世に引き継がれました。

1918年、ドイツ革命が起き、ドイツ帝国が崩壊すると、君主制が廃止されて侯国は消滅しました。兄系・弟系の両ロイス侯国の領域にはロイス人民州（Volksstaat Reuß、首都：ゲーラ）が成立しましたが、1920年にはテューリンゲン州（Land Thüringen）に統合されました。

君主一覧

ハインリヒ62世（1848年 – 1854年）
ハインリヒ67世（1854年 – 1867年）
ハインリヒ14世（1867年 – 1913年）
ハインリヒ27世（1913年 – 1918年）

名に付された序数が即位順を示すものではないのが特徴的ですが、これは男子にすべて「ハインリヒ」という名を付けるロイス家の伝統によるものです。

兄系ロイス家のハインリヒ24世が1927年に没したため、ハインリヒ27世がロイス家全体の家長となり、名目上のロイス侯の称号を称しました。ハインリヒ27世の子ハインリヒ45世は、第二次大戦後ソ連占領軍に拉致されて消息不明となりました。ハインリヒ45世には実子がなく、生前に後継者として指名されていたロイス＝ケストリッツ家当主のハインリヒ4世がロイス家の家長となりました。

なお、ハインリヒ45世はロイス＝ケストリッツ家分枝のハインリヒ1世を養子（個人財産の相続人）としており、姪のヴォイツラヴァ・フェオドラ・ツー・メクレンブルクと結婚させていました。しかし、ハインリヒ45世の財産は第二次大戦後に占領軍によって接収されています。

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