ロイヤル・オードナンス L7

ロイヤル・オードナンス L7

ロイヤル・オードナンス L7は、イギリスで開発された105mm戦車砲であり、冷戦時代における第二世代主力戦車の主砲として広く採用されました。その卓越した性能により、多くの国々の地上戦力において主力の役割を果たしています。

開発背景

L7の開発は1950年代に始まり、当時のイギリスの主力戦車であるセンチュリオンが搭載していたオードナンス QF 20ポンド砲の後継として設計されました。これにより、センチュリオンの火力を大幅に強化し、容易に改修が可能な点も評価されました。特に、1956年のハンガリー動乱を契機に、T-54戦車への対抗手段としてL7の開発が急速に進展しました。

L7の初搭載車両として知られるセンチュリオン Mk.5/2は、既存の砲塔に主砲を換装する形で導入されました。その後、L7はイギリス以外の数多くの国々でも新型戦車の主砲として採用され、特に西ドイツのレオパルト1、スウェーデンのStrv.103、日本の74式戦車など、幅広い派生型が存在します。

構造と性能

L7は口径105mm、51口径長の後装式ライフル砲で、機構は水平鎖栓式閉鎖機を採用しています。砲身中ほどに排煙器が取り付けられており、これはL7の特徴的なデザインとなっています。砲の重量は約1,282キログラムで、最大発射速度は10発/分に達し、非常に高い火力を誇ります。

諸元としては、薬室圧力511 MPaを生成し、初速は1,490m/sに到達します。L7は、装弾筒付翼安定徹甲弾（APFSDS）や榴弾、対戦車榴弾（HEAT）など、さまざまな弾薬を使用することができます。これにより、様々な戦闘環境や敵構造物に対して柔軟に対応できる点が、この砲の大きな強みです。

採用と影響

L7はイギリス国内で多くの新型戦車に搭載され、他国でも様々な型式で採用されています。その中には、アメリカのM60戦車シリーズや、イスラエルのメルカバ、韓国のK1戦車などが含まれます。また、いくつかの国々では既存の戦車にL7を搭載することで、火力の向上を図っています。

特にイタリアやフランスでも独自に105mm口径の戦車砲が開発されていますが、L7が広く受け入れられたことで、L7系列の共通弾薬が採用できる設計となっています。さらに、ロイヤル・オードナンスはL7の後継として120mmのL11ライフル戦車砲を開発しましたが、L7ほどの広がりを見せることはありませんでした。

現在の状況と将来性

冷戦後も、L7の価値は消えてはいません。非対称戦闘や歩兵支援が重要視される現代において、105mm戦車砲は依然として需要があります。新たに開発されつつあるMPF軽戦車グリフィンⅡや16式機動戦闘車などにもL7やその弾薬との互換性を持つ砲が搭載され、今後も活躍が期待されるでしょう。

ロイヤル・オードナンス L7は、その効率性と汎用性から、冷戦以降における地上戦の重要な武器として位置付けられています。

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