ロイヤル・モータース

ロイヤル・モータースの歴史と魅力

ロイヤル・モータースは、1973年から1978年までの間、日本国内で活動した輸入車ディーラーであり、当初はフィアット及びフェラーリの輸入販売を担当していました。会社は安宅産業のグループ会社として設立され、西武自動車販売から両ブランドの輸入代理権を引き継いだことが特筆されます。さらに、1972年に行われた東京モーターショーでは、フィアットの各モデルが展示され、デビューを飾りました。

販売した車種と特徴

ロイヤル・モータースが取り扱った車種には、フィアットのX1/9、128（2ドア、4ドア、クーペ）、124（4ドア・スペシャルTC、クーペ、スパイダー）などがありました。これらの車両はすべてアメリカ向けに設計されていたため、排気ガス対策が容易に行える仕様となっていました。特徴的なのは、全車両が左ハンドルであったことです。1970年代当時、外国車と言えば左ハンドルが主流だったため、これは一般的な仕様でしたが、日本の交通事情を考慮すると難点でもありました。

また、日本市場で評価の高いフィアット500や126、さらに人気のあった125の後継車種である132や美しいデザインで知られる130クーペなどは、対米輸出されていないため、ロイヤル・モータースでは取扱いがありませんでした。

フェラーリの扱いと市場の動向

さらに、ロイヤル・モータースはフェラーリの輸入代理権を持っていましたが、実際には輸入販売を行うことはありませんでした。これは、当時のスーパーカーブームにもかかわらず、代理店としての販売戦略が消極的であったことを示しています。このため、並行輸入業者が市場での利益を大きく得ることになりました。

販売の苦戦と失敗の要因

ロイヤル・モータースは、いくつかの問題に直面していました。まず、右ハンドル及びオートマチック車の設定がなかったため、日本の多くのユーザーには魅力が伝わりませんでした。さらに、過剰な米国仕様車の導入により、エンジン性能が低下したり、大型ウィンカーや1975年以降の衝撃吸収バンパーの追加によって外観が損なわれたりしました。また、当時のイタリア車に多かった発錆などの品質問題も、販売の伸び悩みの要因となりました。

1976年には、フィアット124TCの後継である131Sミラフィオーリや、ランチア・ベータ・クーペを投入するなどの販売努力を続けましたが、それでも業績は回復しませんでした。

会社の終焉とその後

1978年、安宅産業が経営破綻したため、ロイヤル・モータースもその影響を受けて廃業することとなりました。フィアットとランチアの輸入代理権は、長らくオペルの輸入を行っていた東邦モーターズへ、フェラーリの権利は超高級車の輸入で名を馳せていたコーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドにそれぞれ移管されました。

このような一連の流れは、当時の輸入車市場の競争の激しさや、消費者のニーズの変化を反映しています。ロイヤル・モータースの短い歴史は、輸入車ビジネスの難しさや日本市場における戦略の重要性を示すいい例となっています。

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