ロイ・ハリス

ロイ・ハリス（LeRoy Ellsworth Harris, 1898年2月12日 – 1979年10月1日）は、20世紀のアメリカ音楽を代表する作曲家の一人です。オクラホマ州に生まれ、生涯を通じて数多くの作品を生み出しました。

初期の音楽教育は、カリフォルニア大学バークレー校で受けました。その後、同じくアメリカを代表する作曲家であるアーロン・コープランドの推薦を得て、1926年から1929年にかけてフランスのパリへと留学します。パリでは、当時多くの優れた音楽家を育てた高名な音楽教育者ナディア・ブーランジェに師事し、作曲技法だけでなく、ルネサンス音楽の様式や技法についても深く学び、自身の音楽的基盤を確立しました。このパリ滞在中に作曲された作品、例えばピアノ協奏曲、クラリネット協奏曲、そして弦楽四重奏曲などは、イギリスの著名な作曲家フレデリック・ディーリアスから高い評価を受けるなど、早くからその才能が認められていました。

アメリカ帰国後、ハリスのキャリアは決定的な展開を迎えます。彼の初期の交響曲である交響曲第1番「1933年」が、当時ボストン交響楽団の常任指揮者であり、現代音楽の擁護者でもあったセルゲイ・クーセヴィツキーの強い関心を引きつけます。そして、1939年にクーセヴィツキー指揮、ボストン交響楽団の演奏によって初演された交響曲第3番は、その力強く独創的な音楽語法によって批評家や聴衆から絶賛され、ロイ・ハリスを一躍アメリカ楽壇の主要な作曲家の一人として位置づけることになりました。この作品は現在でも彼の代表作として広く知られています。

作曲活動と並行して、ハリスは教育者としても精力的に活動しました。ミルズ大学、ジュリアード音楽学校、カリフォルニア大学ロサンゼルス校（UCLA）など、アメリカ各地の著名な音楽教育機関で教鞭をとり、後進の指導にあたりました。彼のクラスからは、ピューリッツァー賞を受賞した作曲家ウィリアム・シューマンや、ユーモラスなパロディ音楽で知られるピーター・シックリー（P. D. Q. バッハ）など、後に重要な音楽家となる多くの弟子が育ちました。

ハリスの創作活動の中心は交響曲です。番号が付与された作品だけでも13曲があり、未完成のものや番号が付いていない作品を含めると、その総数は少なくとも18曲に及ぶとされています。これらの交響曲は、しばしば広大なアメリカの風景や歴史、あるいは人間の精神的な探求を思わせるような、力強く叙情的な性格を持っています。交響曲以外にも、管弦楽、協奏曲、室内楽、ピアノ曲など、幅広いジャンルにわたる作品を残しています。

主な作品は以下の通りです。

交響曲

• - 交響曲第1番 「1933年」
• - 交響曲第2番
• - 交響曲第3番
• - 交響曲第4番 「民謡交響曲」
• - 交響曲第5番
• - 交響曲第6番 「ゲティスバーグの演説」
• - 交響曲第7番
• - 交響曲第8番 「サンフランシスコ」
• - 交響曲第9番
• - 交響曲第10番 「アブラハム・リンカーン」
• - 交響曲第11番
• - 交響曲第12番
• - アメリカ交響曲

管弦楽曲

• - 管弦楽のためのアンダンテ
• - 交響的序曲 「ジョニーが凱旋するとき」

協奏曲

• - ピアノと管弦楽のための幻想曲
• - 弦楽四重奏、ピアノ、クラリネットのための協奏曲
• - ヴァイオリン協奏曲

室内楽曲

• - ピアノ五重奏曲
• - 弦楽四重奏曲第3番

ピアノ曲

• - ピアノソナタ

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