ロシアによるムィコラーイウ州占領

ロシアによるムィコラーイウ州占領は、2022年2月26日に始まったロシア軍によるウクライナ南部攻勢の一環です。当初、ロシア軍はムィコラーイウ州全域を占領し併合することを目的としていましたが、この目標は侵攻初期に頓挫しました。

占領の経緯

ロシア軍は2月から4月にかけて州都ムィコラーイウへの攻撃を繰り返しましたが、都市を攻略するには至りませんでした。その後、ロシア軍は州の南東部の一部を占領し、3月にはボズネセンスクまで進軍しましたが、最終的にはヘルソン州との境界付近まで撤退しました。

2022年9月30日、ロシアはヘルソン州の併合を宣言し、ムィコラーイウ州の一部地域であるスニフリフカを含む地域がヘルソン州への加入に投票したと主張しました。さらに、ムィコラーイウ州に属するキンブルン半島の外側部分もヘルソン州に併合しました。ただし、キンブルン半島の内部はウクライナの法律上、ヘルソン州の一部です。

しかし、2022年11月10日から11日にかけて、ウクライナ軍は南部反攻作戦の中でスニフリフカとその周辺地域を解放しました。この反攻では、ヘルソン市を含むヘルソン州西部の広大な地域も解放されました。2022年11月12日の時点で、ロシア軍はキンブルン半島の外側部分を除き、ムィコラーイウ州からほぼ完全に駆逐されています。

ロシアによる占領体制

占領下では、「ニコラエフ軍民行政府」と呼ばれるロシアが設置した行政機関が置かれました。ロシア軍は侵攻直後、ムィコラーイウ市から約60km離れたスニフリフカを占領し、その後、ヘルソン州との境界に近い地域や国立公園の一部も占領しました。

4月下旬には、ロシアは占領地域をクリミアに統合し、その地域の知事を任命するための住民投票を準備しました。また、ロシアのパスポートとルーブルが9月1日までに発行・配布される予定でした。占領地ではロシアのモバイル通信が機能し始め、社会的支払いの提供やテレビ放送の確立が進められました。

6月27日、ウクライナ保安庁は、ムィコラーイウ州でロシア軍と協力していたムィコラーイウ市議会の元議員を拘束しました。彼は、ムィコラーイウ州をウクライナから分離し、ロシアが支援する「ムィコラーイウ人民共和国（MPR）」を創設する計画を立てていました。

8月13日には、軍民行政府が正式に設立されました。9月2日にはペルヴォマイスケの集落が占領されました。しかし、9月21日には、スニフリフカ周辺地域とキンブルン半島の外側部分がヘルソン州の軍民行政府に編入され、ニコラエフ軍民行政府は解散しました。

ロシアによる併合の試み

8月8日、ヘルソン軍民行政府は、ムィコラーイウ州の占領地の併合を発表しました。8月13日には、スニフリフカの住民がヘルソン地域のロシア加盟に関する住民投票に参加できると発表されました。

9月11日には、ウクライナ軍の大規模な反撃により、住民投票は「無期限に」延期されましたが、9月30日、ロシアはヘルソン、ザポリージャ、ルハーンシク、ドネツクの各州の併合を宣言し、ムィコラーイウ州の占領地域もヘルソン州に含めると発表しました。

しかし、10月12日、国連総会は、ロシアがウクライナ4州で実施した「住民投票」は違法であり、併合の試みは国際法上無効であるとする決議を採択し、すべての国にロシアの行動を承認しないよう要請しました。

ウクライナ南部反攻と解放

ウクライナ南部反攻作戦を受け、ロシア軍はスニフリフカから撤退し、住民をクリミア半島と占領下のヘルソン州に避難させました。この間、ウクライナ軍は、占領下のツェントラルネの西にあるテルノヴィ・ポディとリュボミールフカを奪還しました。

11月9日にはロシア軍がドニエプル川右岸からの撤退を発表し、翌日、ウクライナ軍はスニフリフカを再占領しました。11月11日までに、ウクライナ軍はキンブルン半島の外側部分を除き、ムィコラーイウ州全域の支配を回復しました。しかし、ロシアは依然としてスニフリフカとその周辺地域に対する主権を主張し続けています。

ロシアによるムィコラーイウ州占領