ロシア・プロレタリア音楽家同盟

ロシア・プロレタリア音楽家同盟（RAPM）について

ロシア・プロレタリア音楽家同盟（RAPM、ロシア語: РАПМ - Российская Ассоциация Пролетарских Музыкантов、英語: RAPM - Russian Association of Proletarian Musicians）は、1923年にソビエト連邦で創設された音楽家団体です。この組織は、音楽をプロレタリアート（労働者階級）の教育と啓蒙のための強力な手段と位置づけていました。RAPMの活動は、ソビエト連邦の音楽文化に大きな影響を与えました。

音楽観と活動

RAPMの基本的な音楽観は、音楽は単純明快で、大衆に容易に理解されるべきであるというものでした。彼らは、音楽がプロレタリアートの意識を高め、社会主義国家への支持を促すことを目指しました。そのため、音楽作品には国家を称賛する内容が求められ、社会主義の理想を反映したものが奨励されました。この考え方は、音楽を芸術的な表現としてだけでなく、政治的な道具としても捉えるという、当時のソビエト連邦における文化政策を反映していました。

現代音楽協会（ACM）との対立

RAPMは、実験的で西ヨーロッパの現代音楽の要素を積極的に取り入れた現代音楽協会（ACM）と激しく対立しました。RAPMはACMの音楽を形式主義的で、プロレタリアートの理解を拒むものとして批判しました。この対立は、ソビエト連邦における音楽文化の方向性を巡る重要な論争となり、最終的にRAPMの反形式主義的な立場がソ連政府によって支持されました。この結果、ACMの路線は否定され、ソ連の音楽界はRAPMのイデオロギーに沿った方向に進むこととなりました。

反形式主義と影響

RAPMの反形式主義、あるいは反知性主義的な態度は、ソビエト連邦の文化生活全体に浸透していきました。その影響は音楽界にとどまらず、文学、美術、演劇など、他の芸術分野にも及びました。この時期のソ連文化は、社会主義リアリズムと呼ばれる特定の様式に強く影響を受け、芸術は政治的なメッセージを伝えるための手段として扱われる傾向が強まりました。RAPMの活動は、このような文化的な動向を加速させる一因となりました。

解散とその後

しかし、RAPM自体は1932年に解散し、ソビエト連邦作曲家同盟が新たに設立されました。これは、文化政策の見直しと、より広範な芸術家の参加を促すための方針転換によるものでした。ソビエト連邦作曲家同盟は、RAPMのイデオロギーを受け継ぎつつも、より多様な音楽表現を許容するようになり、ソ連の音楽文化は新たな段階に入りました。

まとめ

RAPMは、ソビエト連邦の音楽史において重要な役割を果たした組織です。彼らの活動は、当時の社会主義イデオロギーと密接に結びついており、音楽が社会的な変化や政治的なメッセージを伝えるための手段として利用されたことを示しています。RAPMの存在は、音楽だけでなく、ソビエト連邦全体の文化史を理解する上で不可欠な要素と言えるでしょう。

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