ロシア国内軍

ロシア国内軍の概要

ロシア国内軍（Внутренние войска, ВВ）は、内務省に所属していた特殊な軍事組織であり、主に国内における公共秩序の維持や重要な施設の警備を目的としていました。この組織は純粋な軍事作戦を行う能力を有しており、構成員は軍人としての地位にありました。彼らはフランスの国家憲兵隊やイタリアのカラビニエリのように犯罪捜査に従事することはありませんでしたが、内務省の指揮下で活動していたため、しばしば「ロシア内務省軍」とも称されていました。

2016年4月5日、国内軍は新たに設立されたロシア国家親衛隊に改編され、組織構造や使命が刷新されました。

歴史

ロシア国内軍の公式な設立は、1811年3月27日に遡ります。この日は皇帝アレクサンドル1世の命令により、国内の各県に警備部隊が設置された日です。1918年のロシア革命後、設立された共和国国内警備軍は、数多くの名称を経て、最終的に内務人民委員部（NKVD）軍へと変遷しました。

第二次世界大戦中、NKVD軍は53個師団に達し、戦後は科学研究施設や原子力関連施設の警備任務が追加されました。また、平時には災害対応にも従事し、1957年の「マヤーク」事故や1986年のチェルノブイリ事故でもその活躍が見られました。ソ連末期には、さまざまな地域での武装衝突の防止や難民の保護といった任務にも携わりました。

特に、1994年から1996年にかけての第1次チェチェン戦争及びその後の第2次チェチェン戦争では、ロシア連邦軍と連携してチェチェン独立派の制圧を行いました。連邦成立後には組織再編が進み、重装備の一部は廃止され、司法の関連業務は法務省へ移されました。最終的に、2016年にはプーチン大統領の指導の下、国内軍を基盤にしたロシア国家親衛隊が設立されました。

機構

ロシア国内軍は、厳格な組織構造を持ち、以下の機能が設けられていました。

• - 総司令部
• - 会計局
• - 砲兵部
• - 兵員業務局
• - 法務局
• - 航空局
• - 戦闘訓練局
• - 機材・兵器部
• - 後方部
• - 軍医局
• - 中央スポーツ・クラブ
• - 工兵局
• - 組織・動員局

さらに、国内軍は7つの地域司令部に分かれ、各地域の安全を担っていました。具体的には、中央地域、北西地域、沿ヴォルガ地域、ウラル地域、北カフカーズ地域、シベリア地域、東部地域にそれぞれ司令部が設置されていました。また、直轄部隊や独立航空連隊も存在し、地域に応じた部隊が配置されていました。

歴代総司令官

国内軍の総司令官は内務次官を兼任することが多く、その指導の下で組織が運営されていました。この体制により、国内での治安維持や重要施設の保護が一層強化されていました。

類似組織

ロシア国内軍に類似の組織としては、ベラルーシ、トルクメニスタン、カザフスタン、キルギス、ウクライナ、グルジア、アルメニアなどの国々にもそれぞれ国内軍が存在しています。これらの組織もまた、各国の国内安全保障に重要な役割を果たしています。

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