カラビニエリ

カラビニエリ：イタリアの国家[[憲兵]]隊

カラビニエリ（Carabinieri）は、イタリアの国家[[憲兵]]隊であり、正式名称を「Arma dei Carabinieri」といいます。陸軍、海軍、空軍と並ぶイタリア軍の4軍の一つでありながら、同時に治安維持機関としての役割も担っています。そのため、平時には警察機構の一部として活動し、有事には憲兵および戦闘部隊として機能する、非常にユニークな組織です。

カラビニエリの概要

カラビニエリは、その名称が示すように、元来は「騎兵隊」を意味していました。これは、カービン銃（騎兵銃）と同じ語源を持つことからもわかります。歴史的には、1814年にサルデーニャ王国で設立されたのが始まりで、当初はフランスの憲兵隊をモデルとした先鋭部隊でした。

イタリア統一の過程で、カラビニエリは警察組織としての役割だけでなく、戦闘組織としても重要な役割を果たしました。第一次世界大戦や第二次世界大戦にも参加し、多くの勲章を受ける一方で、多数の戦死者も出しています。

戦後は、国内の治安維持に尽力し、極左勢力やマフィア、ネオファシストによる暴力行為やテロリズムに対処してきました。冷戦時代には、赤い旅団によるテロ活動「鉛の時代」や第二次マフィア戦争にも従事しました。

近年では、2016年に森林警備隊が解隊され、その隊員がカラビニエリの森林・環境・農業保護部隊に吸収されたことで、環境保護分野での活動も強化されています。

カラビニエリの任務

カラビニエリの任務は、一般の警察と同様の治安維持活動から、軍事作戦、美術品保護まで多岐にわたります。組織管理面では国防省の傘下にあり、軍事任務については国防省の指揮を受けますが、警察任務については内務省の指揮を受けるなど、任務内容によって指揮系統が異なります。また、環境保護や在外公館の保護など、その他の任務については関連省庁の指揮下に入ります。駐日イタリア大使館にも常駐しています。

対テロ作戦では、特殊介入部隊（GIS）が重要な役割を果たします。GISは、国内外でテロ対策作戦に従事しており、イラク戦争にも派遣されました。また、内務省・国家警察の治安作戦中央部隊（NOCS）も同様の任務を担っています。

海外での平和維持活動（PKO）にも積極的に参加しており、コソボ、アフガニスタン、イラクなどで活動を展開しています。イラクではテロ攻撃によって多くの隊員が殉職する悲劇も起きています。

さらに、カラビニエリはイタリア国内の美術品保護にも力を入れています。美術遺産保護部隊は、美術品の盗難や密売を取り締まる専門部隊として、国内外から高い評価を受けています。第二次世界大戦後の混乱期には、美術品の盗難や密売が横行しましたが、カラビニエリはその取り締まりに尽力しました。

カラビニエリの編成と配置

カラビニエリの最高機関はコマンド（Comando）と呼ばれ、司令官、副司令官、参謀本部で構成されています。

国内には5300を超える箇所に兵員が配置され、治安活動を行っています。地域組織は、中将が指揮する5区域、少将が指揮する18地方、准将または大佐が指揮する105県に細分化されており、その下には准尉が指揮する単位があります。

機動警備部隊としては、2個部隊が編成されています。1個機動師団（2個機動旅団編成）と1個専門部隊師団があり、特殊部隊や空挺部隊も含まれています。機動隊任務や有事における憲兵・戦闘部隊としての投入が主な役割です。

機動部隊師団はローマに本部を置き、2個機動旅団で構成されています。第1機動旅団はローマに、第2機動旅団はリヴォルノに配置されています。特殊部隊であるGISもリヴォルノに所在しています。専門部隊師団もローマに本部があり、イタリア銀行部隊、労働者保護部隊、科学捜査部隊、文化遺産保護部隊、偽造通貨対策部隊、健康保護部隊、航空部隊などの専門部隊で構成されています。

カラビニエリの制服と装備

カラビニエリの制服は、19世紀の設立時は青を基調としていましたが、現在の制服は黒が基調です。黒地の制服に、赤い側章が付いたパンツが特徴です。将校は革ベルトを締め、下士官以下は白いバンダリアを着用します。冬季にはジャンパーやマント、夏季には半袖青地シャツを着用します。制帽は階級によって装飾が異なります。

パレードなどの礼装は、詰襟ダブルブレストのジャケットに、羽飾りの付いた帽子を着用します。任務に応じて、濃紺色の作業服や迷彩服も着用します。

装備としては、パトロールカー、パトロールバイク、航空機、スノーモービル、小型巡視艇などを保有しています。また、軽装甲車や装甲兵員輸送車などの戦闘用装備も保有しています。

パトカーなどの警備車両は、白いルーフ上の青灯・白色灯、黒に近い紺色のボディーに赤いアクセントライン、「CARABINIERI」の白文字が特徴的です。

カラビニエリの階級

(階級に関する記述は、入力データに情報がないため省略)

カラビニエリが登場する作品

カラビニエリは、多くの映画やドラマ、アニメなどの作品にも登場しています。

「Caccia al ladro d'autore」（文化遺産保護部隊を題材にしたTVドラマ）
「S.A.S. 英国[[特殊部隊]]」（テレビドラマでイタリア領事館の警備を担当）
「GUNSLINGER GIRL」（ジョゼ・ジャン兄弟が元カラビニエリという設定）
「ジェラテリーアとカラビニエーリ」（短編作品）
「ヘヴン」（映画）
「007 慰めの報酬」（映画）
「天使と悪魔」（映画）
「インフェルノ」（映画）

これらの作品を通して、カラビニエリは様々な側面から描かれています。

関連情報

関連項目:
イタリアの警察
外部リンク:
Carabinieri（公式サイト）（イタリア語）
* ウィキメディア・コモンズ（カラビニエリに関するカテゴリ）

カラビニエリは、イタリアの歴史と文化を象徴する存在であり、その活動は国民の安全と平和を守る上で不可欠なものです。

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