ロシア大公一覧

ロシア帝室のヴェリーキー・クニャージの歴史

概要

ロシア帝室の一員として称号を持つヴェリーキー・クニャージは、一般には「大公」と呼ばれています。この称号は日本語では「大公」、英語では「Grand Duke」または「Grand Prince」と訳されますが、「大王」や「大君主」の意味合いも含まれています。ヴェリーキー・クニャージは主権者ではないものの、ロシア皇帝とその男系子孫にのみ与えられる儀礼的な称号であり、通常は皇帝に対し「殿下」と呼ばれる称号と共に使用されます。

大公位の成立

元々の「クニャージ」という言葉はスラヴ語から派生しており、公的な権威を持つ者を指していました。9世紀には、キエフ・ルーシ支配者たちがこの称号を使い始め、同じくリトアニアの支配者たちも採用していました。時代が進むにつれて、大公の称号は帝政ロシアの皇族に使用されるようになりますが、16世紀にはツァーリが主権者の称号として大公に取って代わりました。

この称号の付与は厳格な規定がなかったため、持つ者がその権利を相続により次世代に継承していました。しかし、19世紀には男子成員が少ない状況が続き、帝位継承が不安定な状態が続いていました。エリザヴェータ・ペトロヴナ女帝は、男子がいなくなると自身の姉の息子に大公の称号を与え後継者としています。

称号付与の厳格化

ニコライ1世が多くの男子を授かると、大公の数が急速に増加し、帝位継承の安定化が図られました。しかし、1880年代になると、大公の称号を持つ者が多すぎるという懸念が生まれました。この問題を受けて、アレクサンドル3世は1886年に制度改正を行い、大公の称号を皇帝の息子および男系の孫にのみ与えることを決定します。また、大公妃の称号も皇帝の娘や大公の配偶者のみに限定されることになりました。

この改正により、新生児が即時に大公の称号を失う結果となりました。このように、血統的に遠い者は大公の称号を名乗れず、旧来の皇族としての地位が変わる重要な転換点となりました。

大公の消滅

20世紀に入ると、大公の数はますます減少していきます。革命前の30年間で皇族男子として生まれたのはわずか2人でした。革命後は、貴賤結婚の影響を受け、帝室メンバーは著しく少なくなりました。1918年以降、ロシア帝室の男系子孫は一切生まれず、大公の名乗りを持つ者は完全に姿を消しました。

結論

このように、ロシア帝室の大公という称号は、歴史の流れの中で変遷を経て、ある一定の規則に従い維持されてきましたが、最終的にはその存在が消滅してしまいました。現在、血統的に厳密な意味でヴェリーキー・クニャージを名乗ることのできる者は存在していません。

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