ロダ写本

ロダ写本についての詳細

ロダ写本（スペイン語: Códice de Roda）は、9世紀から10世紀初頭にかけての中世ナバラ王国やその周辺地域に関連する貴重な写本で、現在はスペイン歴史アカデミーの保管庫に収蔵されています。この写本は、主にナヘラで編纂され、9世紀から10世紀の歴史的背景を反映した資料です。

概要

ロダ写本は、10世紀後半に成立したと考えられており、11世紀以降の追記も見られます。文書は西ゴート書体の小文字で書かれており、筆記体の傍注や異なる筆跡が特徴です。サイズは205mm×285mmで、全232ページで構成されています。この写本は、12世紀にはナヘラで保管され、後に17世紀末にはロダ・デ・イサベナ大聖堂に移されました。18世紀にはサンタ・マリア・デ・メヤ修道院の院長がこの写本を所有し、その後、1928年に現物が再発見されるまで、学術界では複写本とその派生物のみが利用されていました。

内容の構成

ロダ写本は、様々な骨組みに基づいて構成されています。最初の部分は、オロシウスの『異教徒に反駁する歴史』の複製であり、その後セビリアのイシドールスによる『ゴート・ヴァンダル・スエウィ王国史』や、その他の古代文書の要約が続きます。これには、預言年代記やメルキゼデクの歴史なども含まれ、ナバラの歴史と文化を知る上で欠かせない資料となっています。

重要な内容

特に注目すべきは、ピレネー山脈の両側にまたがる王朝系図です。ロダ写本には、パンプローナを統治したイニゴ家やヒメノ家、アラゴンやトゥールーズなどの系図が含まれており、これらの資料によって当時の権力関係や家系図が明らかにされます。この系図は、他の歴史的記録に比べて非常に貴重であり、中世における政治的背景を理解するための手掛かりとなります。系図は5世代にわたり、10世紀前半にさかのぼることができ、特にイブン・ハズムの作品との共通点から、エブロ川流域で作成された可能性も指摘されています。

資料の多様性

ロダ写本には、アラブ支配者たちや、アストゥリアス、レオン、そしてフランスのキリスト教国の王の一覧も収められており、多文化共存の一例として注目されています。また、記載された聖歌の中には、レオデグンディア・オルドーニェスを賛美する内容も含まれており、宗教的な側面も垣間見えます。このように、ロダ写本はその名の通り歴史の合成物であり、当時のイスラム教徒とキリスト教徒の交流、さらには文化的な対話の証でもあるのです。

結論

ロダ写本は、中世の歴史学研究において重要な位置を占めています。これにより、過去のナバラ王国の政治、文化、宗教の動向を正確に理解するための貴重な資料が提供され、多様な視点からの歴史的分析が可能となっています。特に、系図や歴史的文書の詳細な分析は、今後の研究をさらに進展させることでしょう。

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