ロッキード トライスター (RAF)

ロッキード トライスター (Lockheed TriStar)

ロッキード トライスターは、1984年からイギリス空軍で運用されていた空中給油機および輸送機です。この機体は、ブリティッシュ・エアウェイズやパンアメリカン航空で運航されていたロッキードL-1011-500型の大型旅客機を改造して製造されました。

設計と導入背景

ロッキード トライスターの導入は、フォークランド紛争がきっかけです。この紛争では、イギリス空軍のC-130 ハーキュリーズが現地部隊への物資輸送を担っていましたが、空中給油が不可欠でした。その任務には、爆撃機から改造されたハンドレページ ヴィクターが使用されていましたが、それによりヴィクターの機体寿命が短縮されました。このため、空中給油能力を強化する必要が生じ、トライスターが導入されることになりました。

イギリス空軍は、初めに少なくとも4機のワイドボディ機を求め、同時期にブリティッシュ・エアウェイズが持つL-1011-500型機を売却したいと考えたことが幸いし、最終的に6機の契約が決まりました。1982年12月には初めての発注が行われ、その後1984年にはさらに3機が追加発注されました。これらの9機はすべてブライズ・ノートン空軍基地に配備され、第216航空隊に所属しました。

機体の改造と性能

購入されたL-1011-500型は、マーシャル・エアロスペース社で軍用機に改造されました。9機のトライスターは、人数輸送に加えて空中給油も可能な能力を持っています。特に、2機はトライスター K1として命名され、他の4機は貨物輸送能力が追加されKC1として分類されました。また、3機は空中給油能力を持たない輸送機で、このうち2機はC2、もう1機はC2Aと命名されています。

イギリス空軍は、イラクでの地上攻撃からの防護のために、トライスターの近代化改修プログラムを実施しました。このプログラムには総額2200万ポンドが投じられ、フライトデッキの装甲化や電子機器のアップグレードが行われました。

トライスターは、2010年代中頃には退役が予定されており、新たな戦略給油機（FSTA）としてエアバス A330 MRTTが導入されることが決定しました。2014年にはトライスターの運用も終了しました。ただし、アメリカ空軍の次世代空中給油機選定計画が混乱したことで、イギリス空軍での空中給油機の運用にも影響が出ました。

運用の歴史

導入以降、トライスターはイギリス空軍が参加した様々な紛争で運用されました。例として、1991年の湾岸戦争では2機が空中給油機としてサウジアラビアに配備されました。残りの7機は、ペルシャ湾とイギリスの間で輸送任務を果たしました。また、1999年のコソボ紛争でも4機が空中給油機として展開しました。アフガニスタンでもトライスターは使用され、アメリカ海軍のF/A-18ホーネット戦闘機に対して空中給油を行いました。最後に、2011年には国連活動の一環としてリビアにも展開しました。

まとめ

ロッキード トライスターは、歴史の中で多くの重要な任務を果たしてきました。それにより、イギリス空軍の空中給油能力を強化し、さまざまな任務に対応することができました。トライスターの活躍は、戦闘機や航空機の運用においても重要な役割を果たしました。今後もその影響は続くことでしょう。

もう一度検索