ロドニー・ニーダム

ロドニー・ニーダム (Rodney Needham)

ロドニー・ニーダム（1923年4月15日 - 2006年12月4日）は、イギリスの著名な社会人類学者であり、特に構造主義の分野での業績が評価されています。彼の学問的な影響は、彼自身の研究や教育活動を通じて、社会人類学の発展に寄与しました。

経歴

ニーダムはロンドン大学の東洋アフリカ研究学院およびオックスフォード大学のマートン・カレッジで社会人類学を学びました。1953年には『プナンの社会組織』という学位論文を提出し、オックスフォード大学から博士号を取得しました。1951年から1952年にかけて、ボルネオ島に住むプナン族の社会を対象としたフィールドワークを行い、1953年から1955年までの間には、マレーシアのシワン族についての調査も実施しました。

彼は1956年から1976年までオックスフォード大学において社会人類学の講師を務め、この間に多くの後進を指導しました。また、1971年から1976年にかけてマートン・カレッジのフェローとしての職務も務めます。1976年には、オックスフォード大学の教授に就任し、オールソールズ・カレッジのフェローに選ばれました。1990年には定年退職を迎えました。

研究内容・業績

ニーダムは、エドマンド・リーチやメアリ・ダグラスと並び、イギリスにおいてフランス流構造主義の流入を促進した学者の一人とされています。特に、彼は「単配合的」(monothetic)と「多配合的」(polythetic)という概念を人類学に取り入れ、ウィトゲンシュタインによる家族的類似の研究において重要な貢献を果たしました。これにより、文化や社会の理解が広がり、新たな視点がもたらされました。

大学教員として彼は非常に魅力的な存在で、学生たちから高く評価されていました。また、ファン・ヘネップやロベール・エルツなど、当時あまり評価されていなかった学者の功績を再発見し、その著作の翻訳作業にも取り組むなど、哲学的かつ実践的な視点を持ちながら、学問の普及に努めました。

主な著作

ニーダムは数多くの著作を残しており、以下はその一部です。

• - 1962: Structure and Sentiment

(邦訳『構造と感情 人類学ゼミナール4』三上暁子訳 弘文堂 1977年)

• - 1971: Rethinking Kinship and Marriage
• - 1972: Belief, Language and Experience
• - 1973: Right and Left: Essay on Dual Symbolic Classification
• - 1974: Remarks and Inventions: Skeptical Essays about Kinship
• - 1975: Polythetic Classification: Convergence and Consequences
• - 1978: Primordial Characters
• - 1978: Essential Perplexities
• - 1979: Symbolic Classification

(邦訳『象徴的分類』吉田禎吾・白川琢磨訳 みすず書房 1993年)

• - 1980: Reconnaissances
• - 1981: Circumstantial Deliveries

(邦訳『人類学随想 岩波現代選書110』江河徹訳 岩波書店 1986年)

• - 1983: Against the Tranquility of Axioms
• - 1983: Sumba and the Slave Trade
• - 1985: Exemplars
• - 1987: Counterpoints
• - 1987: Mamboru, History and Structure in a Domain of Northwestern Sumba

ニーダムの研究は、現代社会における人類学の理解を深める上で欠かせないものとなっており、彼の業績は今なお多くの学者によって参照されています。彼の著作は、文化人類学の重要な基礎を成しており、将来の研究者たちにインスピレーションを与え続けることでしょう。

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