ロバート・トーマス・ジュニア

アメリカ合衆国のジャズ・パーカッショニストであり、ハンド・ドラマー、そして視覚芸術家としての顔も持つアーティスト、ロバート・トーマス・ジュニア（Robert Thomas Jr.）。特にビバップやハンド・ドラミングの分野における革新者として評価されており、これまでにグラミー賞に二度ノミネートされた実績を持っています。彼は音楽活動と並行して、画家としても創作活動を展開しています。

生い立ちと音楽への歩み

ロバート・トーマス・ジュニアは、七人兄弟の長男としてフロリダ州マイアミで生を受け、ノース・マイアミ・ビーチで少年時代を過ごしました。小学五年生の時、担任教師から音楽の道を勧められたことが彼のキャリアの始まりとなります。当時は楽器を所有していなかったため、自身の机を叩いてパーカッションの練習を始めました。十六歳になると、オーク・グローブ宣教師バプテスト教会の合唱団に参加し、教会の催しや地元のナイトクラブで演奏していたブルームフィールド・ファミリーというグループと共にパーカッションを演奏する機会を得ました。当初は機材運搬などの裏方として関わっていましたが、あるプライベート・パーティでグループに加わって演奏したことをきっかけに、正式なメンバーとして活動するようになります。まだ未成年でありながら、キャスタウェイ・ホテル内の「レック・バー」をはじめとする様々な場所で彼らと共に演奏を行いました。

ジャズとの出会いとキャリアの発展

高校卒業後、トーマスはマイアミ・デイド・コミュニティ・カレッジに進学しました。この学生時代にジャズ音楽と深く関わるようになります。ゴールドダスト・ラウンジではサックス奏者のジェット・ネロと演奏活動を始め、その後もアイラ・サリヴァン、ビリー・マーカス、ズート・シムズ、サド・ジョーンズ、モンティ・アレキサンダー、メル・ルイスといった名だたるアーティストたちとの共演を重ねました。1970年代後半には、マイアミ・スプリングスで行われたチャリティ・ライブでジャコ・パストリアスと共演する機会も得ています。

ウェザー・リポートでの活動

ジャコ・パストリアスとの共演後間もなく、トーマスはコネチカット州ニューヘイブンでのライブ・パフォーマンスの場で、ジャズ・フュージョン界を代表するグループ、ウェザー・リポートのオーディションを受けることになります。このグループは、創設メンバーであるジョー・ザヴィヌルとウェイン・ショーターが率いるバンドでした。トーマスは後に、グループがラテン・スタイルのパーカッション奏者ではなく、ビバップを演奏できる人物を探していたと振り返っています。彼はオーディションに合格し、1982年までウェザー・リポートのメンバーとして活動。この期間、フランスに居を構えていました。

解散後の活動とソロワーク

ウェザー・リポート解散後、トーマスは再びマイアミを活動の拠点とします。程なくして、地元のレコードレーベルから自身のソロCD『In the Dreamtime』をリリースしました。彼はグループ解散後も、リーダーであったジョー・ザヴィヌルとの共同作業を1994年まで続けました。

幅広い共演者と音楽性

ウェザー・リポートでの輝かしい活動に加え、ロバート・トーマス・ジュニアは、ザヴィヌル・シンジケート、ジャコ・パストリアスのワード・オブ・マウス、スタン・ゲッツ、デイヴィッド・サンボーン、カルロス・サンタナ、エディ・ハリス、ブランフォード・マルサリス、ハービー・マン、アーマッド・ジャマル、ロベルト・ペレーラといった錚々たるアーティストたちともステージを共にしています。また、シタール奏者のアミタヴァ・チャタルジーやアフリカのアーティストであるヴィンクスなど、国際的なバックグラウンドを持つミュージシャンとのコラボレーションも行っています。彼は自身の幅広いディスコグラフィを通じて、複数のソロ作品を発表しており、そこではコンガ・ドラムや管楽器、ギターに加え、アフリカのボウ・ハープといった多様な楽器を巧みに取り入れた独自の音楽世界を展開しています。

私生活

ロバート・トーマス・ジュニア氏はジェーン・トーマス氏とご結婚されており、息子さんが一人いらっしゃいます。

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