ロヒンギャ解放党

ロヒンギャ解放党（RLP）

ロヒンギャ解放党（Rohingya Liberation Party、略称：RLP）は、1970年代前半にミャンマー西部、特にラカイン州を活動域としていたロヒンギャ系の反政府武装組織です。その軍事部門はロヒンギャ解放軍（Rohingya Liberation Army、略称：RLA）と呼ばれていました。この組織を率いたのは、かつてラカイン地方でミャンマー政府と戦ったムジャーヒディーン運動の主要な指導者の一人であったサニ・ジャファルです。

設立と初期の活動

1972年7月15日、ムジャーヒディーン運動がミャンマー政府に降伏してから約13年後、サニ・ジャファルはかつての仲間たちを再び糾合し、ロヒンギャ解放党として組織を再構築しました。彼らはラカイン州内のブティダウン近郊のジャングル地帯に活動拠点を築き、そこを足がかりとしました。組織の活動資金は、拠点周辺で営んでいた酪農場、ヤギ飼育、養鶏場などといった経済活動を通じて得ていたとされます。

RLPは、同じくラカイン州を拠点とする他の武装勢力とも連携しました。具体的には、アラカン共産党（CPA）やアラカン民族解放軍（ANLA）といった組織と協力関係を結んでいました。

ロヒンギャ独立戦線との関係と勢力拡大

RLPは、当時「ロヒンギャ」の名を冠した初期の武装組織とされるロヒンギャ独立戦線（RIF）と密接な交流を持っていました。RIFは後にロヒンギャ愛国戦線（RPF）と改称しますが、この両組織の間では人材交流が行われ、RIFの若いメンバーがRLPに参加して実戦経験を積むといったこともありました。特に、1971年に勃発した第三次印パ戦争の影響で、ミャンマーとバングラデシュの国境地帯における闇市場で容易に武器を入手できる状況が生まれたことを背景に、RLPの兵力は急速に拡大します。設立当初は約200人であった組織の兵力は、一時的にではありますが、約2,500人規模にまで増加したと記録されています。この勢力拡大期には、RIFのリーダーであったB.A.ジャファルを含む多くのメンバーが、正式にRLPに合流しました。

衰退と終焉

しかし、RLPの隆盛は長くは続きませんでした。1973年、ミャンマー国軍はRLPに対する大規模な掃討作戦を展開しました。この攻勢により、RLPはラカイン州内に保有していた活動拠点を全て失うこととなり、組織は大きな打撃を受けました。

拠点を失った後、サニ・ジャファルはRIFと共同で新たな武装組織を設立しようと模索した時期もありました。しかし、RIFの後援者たちがサニ・ジャファルを組織のリーダーとして不適格と判断したため、この統合計画は実現に至りませんでした。

そして1974年、RLPの指導者であるサニ・ジャファルがミャンマー政府に投降したことにより、ロヒンギャ解放党は事実上解体され、消滅しました。組織の残存メンバーは、先に述べたロヒンギャ愛国戦線（RPF）に合流していったとされています。

ロヒンギャ解放党は短命に終わった組織ではありますが、ロヒンギャという名称を冠した初期の武装組織の一つとして、その後のロヒンギャ武装闘争の歴史において一定の役割を果たしました。特に、後続の組織であるRIF/RPFとの関係は、その後のロヒンギャ系武装勢力の形成に影響を与えたと考えられています。

（参考文献については、上記内容の裏付けとしてInput情報を参照しています。）

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