ロビン・オール

ロビン・オール

ロビン・オール（本名：ロバート・ケルムズリー・オール、1909年6月2日生 - 2006年4月9日没）は、20世紀を代表するスコットランドの作曲家です。アンガス州ブレチンに生を受けた彼は、その長い生涯を通じて、創作活動のみならず、イギリスの主要大学における音楽教育の発展にも多大な貢献をしました。

若き日のオールは、まずロンドンの王立音楽大学で専門的な音楽教育を受けました。その後、学術的な研鑽を積むため、ケンブリッジ大学のペンブルック・カレッジに進学。ここでの学びを通じて、彼の音楽的基盤はより強固なものとなっていきました。さらに、作曲家としての才能を開花させるべく、彼は当時のヨーロッパ音楽界で非常に重要な存在であった二人の巨匠に師事しました。イタリアの作曲家アルフレード・カゼッラからは作曲技法や様式について、そしてフランスの伝説的な音楽教師ナディア・ブーランジェからは、厳格な音楽理論と深い洞察力を学びました。これらの経験は、後の彼の創作活動に決定的な影響を与えたと考えられます。

学業を終えたオールは、1938年に母校であるケンブリッジ大学に戻り、歴史あるセント・ジョンズ・カレッジのオルガン奏者としての職を得ました。これは彼の初期のキャリアにおける重要な一歩でした。しかし、彼の活動は第二次世界大戦の勃発によって一時中断されます。戦時中、彼は祖国に奉仕するため軍務に就きました。

戦争終結後、ロビン・オールは音楽の世界へと再び戻ります。戦後のイギリス音楽界において、彼は教育者としての道も精力的に歩み始めました。まず、ケンブリッジ大学で講師として教鞭を執る傍ら、ロンドンの王立音楽大学でも教授として、多くの若手音楽家を指導しました。彼の教育者としての手腕は高く評価され、1956年にはグラスゴー大学の音楽学部教授に迎えられます。彼はこのグラスゴーの地で約10年間、1965年まで教鞭を執り、西スコットランドの音楽教育の中心人物となりました。

1965年からは、再びケンブリッジ大学に戻り、音楽学部教授に就任。彼はここで音楽学の研究と教育に専念し、その知識と経験を次世代に伝えました。ケンブリッジ大学での教授職は1977年に引退するまで続き、その間、彼は数多くの音楽家や研究者を育て上げました。イギリス音楽界における長年の功績と影響力は広く認められており、1972年にはその貢献が称えられ、大英帝国勲章を受章しています。

作曲家としてのロビン・オールは、幅広いジャンルで作品を残しました。特に、3つのオペラは彼の創作活動における重要な柱の一つです。また、3つの交響曲は彼のオーケストラ作品の中核をなすものです。その他にも、シンフォニエッタ・ヘルベチカと題された作品や、教会音楽、そして弦楽四重奏などの室内楽曲も手掛けました。彼の作品は、師事した作曲家たちの影響を受けつつも、独自のスタイルを確立しており、イギリスの近代音楽において重要な位置を占めています。

ロビン・オールの生涯とその業績については、1998年に刊行された彼の自伝『Musical Chairs』に詳しく記されており、彼の人生と創作、そして教育活動について深く知るための貴重な資料となっています。彼は2006年に96歳でその生涯を閉じましたが、作曲家、教育者としての功績は今なお称えられています。

（参考文献：自伝『Musical Chairs, Autobiographie, 1998』より）

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