ロブ・ジョンソン (野球)

ロバート・ジェームズ・ジョンソン

ロバート・ジェームズ・ジョンソン（Robert James Johnson）は、1982年7月22日にアメリカ合衆国モンタナ州アナコンダで生まれた、メジャーリーグベースボール（MLB）の元プロ野球選手です。キャリアの大半を捕手として過ごしましたが、投手としてもMLBのマウンドに二度立ち、現役生活の最後には専門職として投手への転身を目指した、異色の経歴を持つ選手でした。

プロ入りまでの道のり

MLBのドラフト会議では、複数年にわたって指名を受けるという経験をしました。2002年には、フロリダ・マーリンズから41巡目（全体1223位）で指名を受けましたが、この時は入団を辞退しています。翌2003年も、ピッツバーグ・パイレーツが18巡目（全体535位）で彼を指名しましたが、再び契約には至りませんでした。そして2004年、シアトル・マリナーズが4巡目（全体123位）で指名すると、6月30日にこれを受諾し、プロフェッショナルとしてのキャリアをスタートさせました。

シアトル・マリナーズでの日々

プロ契約から数年後の2007年9月4日、ニューヨーク・ヤンキースとの試合で待望のメジャーデビューを果たしました。この日のデビュー戦では3打数で1安打を記録しています。メジャー初本塁打は、2008年9月26日のオークランド・アスレチックス戦で生まれました。

彼のマリナーズ時代で特に印象深い出来事として、2009年シーズン中のアクシデントが挙げられます。同年9月18日のヤンキース戦で、チームメイトであるイチロー選手がサヨナラ本塁打を放ち、その劇的な勝利を祝いにホームベース付近に集まった際、喜びのあまり手荒な祝福を受けていたイチロー選手を囲む中で、勢い余って自身の左足首を捻挫してしまうという珍事に見舞われました。幸い重傷には至りませんでしたが、この怪我の影響も考慮されたのか、以降の試合ではエース投手であるフェリックス・ヘルナンデス投手の登板日に限ってマスクをかぶる機会が増えました。これは、当時もう一人の正捕手であった城島健司選手とヘルナンデス投手との連携がうまくいかず、城島選手が加入した直後からヘルナンデス投手が城島選手のリードを認めないという発言をしていた背景があったためです。2009年シーズンを通してメジャーリーグに在籍し、マリナーズの捕手陣の中では最も多い80試合に出場し、チームに貢献しました。

続く2010年シーズンも、捕手としてチーム内で最多となる61試合に出場しましたが、シーズン終盤には2年ぶりにマイナーリーグのAAA級へ降格となりました。そして、同年12月13日には球団からDFA（Assignment for Designation）となり、事実上の戦力外通告を受けました。そのわずか8日後の12月21日、金銭トレードによってサンディエゴ・パドレスへ移籍することが決まり、マリナーズでのキャリアに幕を下ろしました。

マリナーズ退団後のキャリアと投手への挑戦

パドレス移籍後の2011年10月25日にフリーエージェント（FA）となり、新たな所属先を探すことになります。同年12月22日にはニューヨーク・メッツとマイナー契約を締結しました。

2012年シーズン、メッツの正捕手ジョシュ・トーリー選手が怪我で離脱したため、その代役として5月8日に再びメジャーリーグへ昇格しました。捕手として先発出場した5月18日のトロント・ブルージェイズ戦は、試合展開で大きな差がついていましたが、8回裏に捕手から投手へとポジションを変更し、マウンドに上がるという異例の登板を果たしました。この登板では、対戦した打者3人を無安打に抑える投球を見せました。シーズン終了後の10月17日には、再びFAとなります。

2012年11月13日、セントルイス・カージナルスとマイナー契約を結び、翌シーズンへの準備を進めました。2013年シーズン中の7月9日にカージナルスでメジャーリーグへ昇格を果たしました。同年8月7日のロサンゼルス・ドジャース戦でも、大量リードを許した状況の9回表二死一、二塁という場面で、カージナルスの投手としてリリーフ登板しました。この場面では、対戦した打者から三振を奪い、イニングを締めくくるという結果を残しました。シーズン終了後の11月5日、三度FAとなりました。

2014年、ジョンソン選手は自身のキャリアにおいて大きな決断を下します。長年培ってきた捕手としての道を離れ、投手としてプロを続けていくことを決意したのです。同年2月10日、投手としてサンディエゴ・パドレスとマイナー契約を結び、新境地での挑戦を始めました。しかし、スプリングトレーニング中に肘の痛みに見舞われ、その後の検査で利き腕の尺側側副靭帯が断裂しているという重傷であることが判明しました。この怪我により、投手としての再出発は叶わず、2014年5月23日、現役からの引退を表明することとなりました。異例の投手登板経験や、新たな可能性を追求した矢先の怪我による引退は、彼のキャリアに影を落とす結果となりましたが、複数ポジションでのメジャー出場という稀有な経歴は、彼の野球人生を特徴づけるものとして記憶されています。

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