ロブ・ネン

ロバート・アレン・ネン：剛腕クローザーの軌跡

ロバート・アレン・ネンは、1969年11月28日にカリフォルニア州サンペドロで生まれました。父は元メジャーリーガーのディック・ネンという野球一家に育ち、幼い頃から野球に親しんできました。

プロ入り前

ロスアラミトス高校時代は、三塁手と投手を兼任し、チームメイトには後にメジャーリーガーとなるJ.T.スノーがいました。この頃からその才能は注目されており、1987年のMLBドラフトでテキサス・レンジャーズから32巡目で指名を受け、プロの世界へ足を踏み入れました。

レンジャーズ時代

1993年4月10日、ボストン・レッドソックス戦でメジャーデビューを果たしました。しかし、この時期のネンは制球に苦しみ、防御率6.35、22.2イニングで26四球という結果に終わりました。

マーリンズ時代

1993年7月17日、クリス・カーペンターとのトレードでフロリダ・マーリンズへ移籍。しかし、移籍後も防御率7.02と打ち込まれる日々が続きました。1994年も当初は敗戦処理としての起用でしたが、徐々に安定感を増し、6月からはクローザーとして起用されるようになりました。1994年から1995年のMLBストライキでシーズンが打ち切られる中、15セーブ、防御率2.95という好成績を残しました。

1995年には23セーブ、1996年には35セーブ、防御率1.95を記録し、メジャー屈指のクローザーへと成長を遂げます。1997年には35セーブをマークしましたが、防御率は3.89と悪化。それでもチームはワイルドカードを獲得し、アトランタ・ブレーブスとのリーグチャンピオンシップシリーズでは2セーブを記録し、球団史上初のリーグ優勝に貢献しました。クリーブランド・インディアンスとのワールドシリーズでは、本調子ではなかったものの2セーブを挙げ、シリーズ制覇の立役者となりました。このポストシーズンでは、ネンが登板した試合はすべて勝利を収めており、その勝負強さを物語っています。また、このシリーズで記録した102mph（約164km/h）の速球は、現在もシリーズ最速記録として残っています。

ジャイアンツ時代

1997年11月18日、トレードでサンフランシスコ・ジャイアンツへ移籍。1998年にはオールスターゲームに初選出され、自身初の40セーブ、防御率1.52、110奪三振を記録しました。2000年には41セーブ、防御率1.50、92奪三振の成績で、チームの地区優勝に大きく貢献。ニューヨーク・メッツとのディビジョンシリーズでは第3戦でセーブに失敗し、チームも1勝3敗で敗退しましたが、サイ・ヤング賞の投票では4位に入りました。2001年には安定感はやや欠いたものの、45セーブを記録し、最多セーブのタイトルを獲得しました。

2002年には3度目のオールスターゲーム選出を果たし、8月6日のシカゴ・カブス戦で通算300セーブを達成しました。43セーブ、防御率2.20を記録し、チームのワイルドカード獲得に貢献。ディビジョンシリーズ、リーグチャンピオンシップシリーズでは計5セーブをマークし、チームは13年ぶりのリーグ優勝を果たしました。アナハイム・エンゼルスとのワールドシリーズでは、第1戦及び第4戦でセーブを記録。3勝2敗と王手をかけた第6戦の8回に登板しましたが、トロイ・グロースに逆転の二塁打を浴び、痛恨のセーブ失敗（この試合が現役最後の登板となりました）。第7戦も敗れ、シリーズ制覇はなりませんでした。

2003年、2004年は右肩の故障によりプレーできず、2005年2月に現役を引退しました。ネンの300セーブを記念したプレートは、AT&Tパークに飾られています。

選手としての特徴

投球前につま先を軽く叩くという独特の投法から繰り出される最速102mph（約164km/h）の速球と、ターミネーターの異名を持つスライダーを武器としていました。特にホームベース上で縦方向に急激に変化するスライダーは90mph前半の球速を誇り、打者にとっては非常に厄介な球種でした。入場曲にはディープ・パープルの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」が使用されており、その登場は球場全体を熱狂させました。好調時のネンの投球は、他球団にとって脅威であり、ナショナルリーグのライバルチームの監督は、「いかにネンを攻略するか」ではなく、「いかにネンをマウンドに上げさせないか」という結論に至っていたと言われています。

詳細情報

年度別投手成績、タイトル、記録については、以下の通りです。
タイトル
最多セーブ投手：1回（2001年）
記録
MLBオールスターゲーム選出：3回（1998年、1999年、2002年）

ロバート・アレン・ネンは、その圧倒的な投球で多くのファンを魅了した、MLB史に残る名クローザーの一人として、これからも語り継がれるでしょう。

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