ロベルト・エドゥアルド・ビオラ

ロベルト・エドゥアルド・ビオラ：激動の時代を生きたアルゼンチンの軍人

ロベルト・エドゥアルド・ビオラ（1924年10月13日 - 1994年9月30日）は、アルゼンチンの軍人であり、1981年3月29日から12月11日まで、軍事独裁政権（国家再編成プロセス）下で短期間大統領を務めました。その生涯は、生い立ちから大統領就任、失脚、晩年まで、激動の時代を反映したものでした。

生い立ちと軍人としてのキャリア

1924年、イタリア移民の両親のもと、ロベルト・エドゥアルド・ビオラ・プレヴェディーニとして生まれました。軍人としてのキャリアを積み重ね、頭角を現していきます。

アルゼンチン大統領として

1981年3月、ビオラは大統領に就任。しかし、その政権は短命に終わります。経済政策の失敗と軍内部の対立が、その大きな要因でした。

経済政策の失敗

ビオラは、ロレンツォ・シゴーを財務大臣に任命。シゴーは、前政権の経済政策を覆そうと試みましたが、それがかえって経済の混乱を招きました。特に、シゴーが「ドルに賭ける者は負ける」と発言した後、為替相場を切り下げたことは、国民の不信感を招き、経済状況を悪化させました。

軍内部の対立

エミリオ・エドゥアルド・マセラをはじめとする軍内部の権力闘争も、ビオラの政権を不安定化させました。マセラは、収容所に収容されていた政治犯を強制的に無給で雇用するなど、独自の政策を進めようとしましたが、フンタの支持者の主流から強い反発を受けました。

アメリカ合衆国との関係改善

外交面では、ロナルド・レーガン政権下でアメリカ合衆国との関係が大きく改善しました。カーター政権時代には、アルゼンチンの人権問題が非難されていましたが、レーガン政権はそれを停止。関係改善により、アルゼンチンの情報機関はCIAとの協力関係を深め、ニカラグアのサンディニスタ政権に対抗するコントラへの支援を行いました。

クーデターによる失脚と晩年

求心力を失ったビオラは、1981年12月、レオポルド・ガルティエリ中将率いるクーデターによって失脚。公式には健康問題が理由とされましたが、実質的には軍内部の権力闘争の結果でした。その後、ガルティエリはフォークランド紛争へと突き進みます。

1983年に軍事政権が崩壊すると、ビオラは逮捕され、「汚い戦争」中の人権侵害の罪で17年の懲役を言い渡されました。獄中で健康状態が悪化したため、1990年にカルロス・メネム大統領によって恩赦されましたが、1994年9月30日、70歳の誕生日の2週間前に亡くなりました。

ロベルト・エドゥアルド・ビオラの生涯は、アルゼンチンの激動の時代を象徴するものであり、その功績と過ちは、今もなお議論の対象となっています。

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