ロベール兄弟

ロベール兄弟：気球の歴史を塗り替えたパイオニアたち

18世紀後半、フランスで活躍したアン＝ジャン・ロベールとニコラ＝ルイ・ロベール兄弟は、気球の歴史にその名を刻んだパイオニアです。優れた技術者として知られる彼らは、ジャック・シャルルと協力し、水素気球開発の中核を担いました。

初めての有人水素気球飛行

ロベール兄弟は、パリの熟練した技術者として、シャルルの水素気球製作に携わりました。シャルルの設計に基づき、軽量で気密性の高い気嚢（飛行船の袋）の開発に成功。絹の布にゴムをコーティングする独自の技術を確立し、鮮やかな赤と黄色の気球を作り上げました。

最初の水素気球は小型でしたが、1783年8月27日、ベンジャミン・フランクリンも列席する中、華々しく初飛行を迎えました。水素の生成には困難を極める作業を伴いましたが、45分間に渡り飛行し、21km先のゴネスに降下。しかし、地元住民の恐怖から、気球は損壊されてしまいました。

真の偉業は1783年12月1日に訪れました。ニコラ＝ルイ・ロベールはシャルルと共に、380m3の大型水素気球に乗り、有人飛行に挑んだのです。バスケットと水素調整用の弁を備えた気球は、550mの高度に達し、2時間5分に渡り36kmを飛行。40万人の人々がその歴史的瞬間を目撃しました。シャルルはその後、単独で高度3000mに達する飛行を行い、気球の歴史に新たな1ページを刻みました。この飛行には、アメリカ合衆国大使としてフランスにいたベンジャミン・フランクリンも特別席で観覧しており、その後の気象観測にも協力しています。

100km超えの長距離飛行

シャルルとロベール兄弟は、その後も気球の改良に情熱を注ぎました。ジャン＝バティスト・ムーニエの提案による人力操縦可能な飛行船の開発にも挑戦。オールを備えた飛行船による飛行は成功しませんでしたが、1784年9月19日、ロベール兄弟はM. Collin-Hulliと共に、パリからバーヴリーまでの186kmという長距離飛行を成し遂げました。これは史上初の100km超えの飛行であり、気球の技術的可能性を大きく広げる偉業となりました。

ロベール兄弟の功績

ロベール兄弟は、単なる気球製作の技術者ではありませんでした。彼らは、気象観測用の機器を開発し、初めて空中での気象観測を行った先駆者でもありました。綿密な計算と高度な技術、そして大胆な挑戦によって、彼らは気球の歴史に革命を起こし、後の航空技術発展の礎を築いたのです。彼らの功績は、今日の航空技術の発展にも多大な影響を与え続けています。

参考文献

Federation Aeronautique Internationale, Ballooning Commission, Hall of Fame, Robert Brothers.
Larousse Encyclopaedia - les frères Robert, Mécaniciens français.
Colo State.edu, Hilger, Metrology, Profile of Nicolas Robert
Fiddlers Green, History of Ballooning, Jacques Charles
* Today in Science, The Montgolfier and Charles Balloons, from 1911 Encyclopædia Britannica

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