ロマノス3世アルギュロス

ロマノス3世アルギュロスは、968年に生まれ、1034年4月11日に亡くなった東ローマ帝国マケドニア王朝の皇帝です。彼は1028年から1034年まで在位しました。

即位までの経緯

先帝コンスタンティノス8世には男子がおらず、3人の娘しかいませんでした。しかし、コンスタンティノス8世は享楽的な生活を送り、後継者のことを真剣に考えていませんでした。彼は、既に40歳を超えた娘たちに婿を迎えることすらしていませんでした。

1028年、コンスタンティノス8世は死の床でようやく後継者を決めることにしました。彼は、名門文官貴族であり元老院議員、そして首都長官であったロマノスを次女のゾエと結婚させ、後継者に指名しました。ロマノスは当時60歳を超えており、妻もいましたが、コンスタンティノス8世はロマノスの妻を騙して離婚させ、ゾエと結婚させたのです。結婚式の3日後、コンスタンティノス8世は亡くなり、ロマノスが皇帝として即位しました。

政治と財政

ロマノス3世の治世は、政治的に多くの問題を抱えていました。彼は修道院を多数建設し、莫大な費用を費やしたため、帝国の財政を破綻寸前に追い込みました。しかし、この修道院建設によって文化的な発展を遂げた側面もあります。また、彼はバシレイオス2世が推進した大土地所有抑制政策を破棄してしまいました。これにより、帝国は後に大土地所有貴族による内紛状態へと陥ってしまいます。さらに、ロマノス3世は財政難を補うために地方に対して重税を課しましたが、役人がそれを横領するなど、支配階層の腐敗も進みました。

軍事的な失敗

ロマノス3世は、軍事面においても大きな失敗をしました。彼は自らを古代ローマの皇帝トラヤヌスやハドリアヌスになぞらえ、東方へ遠征を行いましたが、文官出身であるロマノスには軍事的な才能などなく、シリアでイスラーム勢力に対して大敗を喫し、逃げ帰るという醜態をさらしました。失政を重ねたロマノス3世は、皇后ゾエとも不仲になり、既に衰退し始めていた帝国はますます衰えていきました。

数少ない功績

ロマノス3世の治世で、唯一とも言える功績は、ファーティマ朝と休戦し、破壊されたエルサレムの聖墳墓教会を再建したことです。また、エルサレム総主教の任命権を得たことも、彼の功績として挙げられます。

死去

1034年、ロマノス3世は入浴中に不慮の死を遂げました。一説には、皇后ゾエによる暗殺とも言われていますが、真偽は定かではありません。

その他

銀のギリシャ語名であるアルギュロス（argyros）は、ロマノス3世の姓であり、ラテン語ではアルゲントゥム（argentum）と言います。同様に水銀はギリシャ語でヒュドラルギュロス（hydrargyros）、ラテン語でヒュドラルギュルム（hydrargyrum）と呼ばれます。

もう一度検索