ソーサリアン
『ソーサリアン』は、1987年に日本ファルコムから発売されたPC-8801mkIISR用のアクションロールプレイングゲームであり、『ドラゴンスレイヤー』シリーズの第5作目にあたります。プレイヤーは「ソーサリアン」と呼ばれるキャラクターを操作し、魔法と武力が支配する世界で冒険を繰り広げます。このゲームの最大の特徴は、ゲーム本体とは独立して追加可能なシナリオと、拡張性の高いシステムです。これにより、多数の追加シナリオが発売され、長く楽しむことができました。
開発は日本ファルコム自身が行い、プロデューサーは『ザナドゥ』や『イースI』を手掛けた加藤正幸氏、ゲームデザインとプログラムは『ドラゴンスレイヤー』を担当した木屋善夫氏が務めました。シナリオは五十嵐哲也氏、富一成氏、山根ともお氏、都築和彦氏が担当し、音楽は古代祐三氏、石川三恵子氏、竹林令子氏、永田英哉氏が手がけました。イラストは小林誠氏が担当しています。
1988年にはPC-9801やX1turboなどの国内パソコン各機種に移植され、1990年にはメガドライブやPC/AT互換機|PC_AT互換機、1991年にはMSX2、1992年にはPCエンジンSUPER CD-ROM2など、家庭用ゲーム機や海外のパソコン機種にも移植されました。さらに、2003年から2006年にかけては携帯電話ゲームとしても配信されました。リメイク版としては、Windows用ソフト『ソーサリアンフォーエバー』やドリームキャスト用ソフト『ソーサリアン〜七星魔法の使徒〜』、携帯電話ゲーム『アドバンスド ソーサリアン』などが発売され、多くの派生作品も登場しました。
システム
ゲームのメイン画面はサイドビューで、左右に任意スクロールします。最大4人のプレイヤーキャラクターでパーティーを組み、武器や魔法を使って敵を倒しながら、ジャンプで障害物を乗り越え、様々なトラップや謎を解きつつ各シナリオをクリアしていきます。
本作の特徴は、何と言っても「自由度の高さ」にあります。しかし、それ故に難易度も高く、後のリメイク版ではシナリオをより楽しむための要素が強化され、ゲームシステムの見直しが行われました。
プレイヤーキャラクター
ゲーム開始時に、プレイヤーが操作するキャラクターを作成します。戦士、魔法使い、ドワーフ、エルフの4種類のクラスがあり、それぞれに男女の性別があります。クラスと性別によって初期能力値が異なり、装備できるアイテムも戦士・ドワーフと魔法使い・エルフで分かれています。
キャラクターの能力値は、以下の7種類です。
STR (Strength): 強さ。武器攻撃の威力に影響します。0以下だと武器攻撃ができません。
INT (Intelligence): 知力。魔法攻撃の威力に影響します。0以下だと魔法を使うことができません。
PRT (Protection): 物理防御。受けるダメージに影響します。
MGR (Magic Resistance): 魔法防御。受けるダメージに影響します。
VIT (Vitality): 体力。低いと高レベルのシナリオで扉を開けることができません。機種によってはダッシュの持続時間にも影響します。
DEX (Dextelity): 器用さ。敵と自分の攻撃タイミングや、トラップ回避に影響します。
KRM (Karma): 魅力。アイテムの価格、装備品に星をかける際の所要期間、レベルアップに必要な経験値、各職業の年収などに影響します。
これらの能力値は、ペンタウァの町の道場で修行することで増加させることができます。また、冒険に出ない時の職業による増減や、冒険中の行動による増減、老年期に達してからの減少など、様々な要因で変化します。能力値の上限と下限はレベルによって決定され、装備品の星による上昇分は上限を超えることができます。HPとMPも基本的にレベルで決まり、種族・性別・能力値の影響は受けません。
さらに、キャラクターは以下の技能を身につけることができます。
アイテム: 冒険で持ち帰ったアイテムを鑑定し、種類や星、使える魔法を知ることができます。
トラップ: トラップの種類を事前に知り、回避率を向上させます。
モンスター: 画面に登場するモンスターの名前や特徴、弱点などを知ることができます。
ハーブ: 薬を調合するのに必要なハーブがあれば、自動的に薬を補充できます。
星: （Windows版以降の追加技能）装備品の星の掛かり方を確認できます。
職業
キャラクターは冒険者であると同時に、冒険に出ていない時は別の職業に就いています。職業は60種類あり、クラス、性別、年齢、能力値によって就ける職業に制限があります。加齢や能力値の変化で条件に合わなくなると解雇されます。
パーティーを組んでいる時や、ペンタウァの町の道場で修行をしている時を除き、1年が経過するごとに職業に応じて経験値や所持金が増加し、能力値も変化します。また、特定のクラスや性別、年齢、職業を持ったキャラクターがいなければクリアできないシナリオも存在します。
ペンタウァの町
冒険の拠点となるのはペンタウァという町です。以下の施設を利用できます。
武器と防具の店: シンプルな装備品が売られています。魔法使い・エルフ用の装備は、初歩的な魔法が使えるようになっています（一部バージョンを除く）。
魔法使いの家: 魔法使いエスターの店。装備品に星をかけてもらう、呪いを解いてもらう、死亡したキャラクターを蘇らせてもらうことができます。
薬屋: ハーブを渡して薬を調合してもらえます。
寺院: 懺悔や祈りを捧げる、死者を蘇らせる、寄付をすることができます。
長老の家: 装備品の星の数や使える魔法を調べてもらえます。星に合わせた魔法の力を引き出してもらうことも可能です。
城の謁見室: レベルアップに必要な経験値を教えてもらい、レベルアップができます。
道場: 能力値や技能を上げるための修行ができます。
星と魔法
ゲームには、火星、水星、木星、月、太陽、金星、土星の7つの魔法要素があり、武器や防具にこれらの要素を組み合わせることで、魔法効果を発動できます。星の魔力は魔法使いのエスターにかけてもらうか、冒険中にアイテムとして入手します。星の組み合わせパターンは非常に多く、120種類の魔法が存在します。また、一部の魔法は星の数を2倍にすることで効果を強化できます。
エスターに星をかけてもらう際、既に付いている星と干渉して、星が変化したり消えたりすることがあります。そのため、通常の組み合わせでは入手できない魔法も存在し、冒険中のアイテムかユーティリティの魔法屋でしか使用できない魔法も存在します。星と魔法は別々に管理されているため、「星は付いているが魔法が使えない」「星は付いていないが魔法が使える」といったアイテムも存在します。
年齢と寿命
プレイヤーキャラクターには年齢の概念があり、冒険に出たり、町で仕事をしたりするだけでも加齢します。年齢によってキャラクターのグラフィックが変化し、老年期に達すると能力が低下し、最終的には老衰で死亡します。老衰で死亡した後は、そのキャラクターの能力を一部引き継いだ子孫キャラクターを作成できます。
この寿命システムが、キャラクター育成の楽しみを阻害してしまう側面もあり、多くのプレイヤーが隠し技で「不老不死」化を行いました。追加シナリオの中には、不老不死キャラクターに対してペナルティを課すものも存在します。
シナリオシステム
本作では、シナリオは外部データを読み込む形式を採用しています。「シナリオの数だけ世界がある」という謳い文句の通り、多種多様なシナリオが存在します。ボスを倒して宝を手に入れる王道的なシナリオ、ボスとの戦闘を回避できるシナリオ、推理小説のようなトリックを解くシナリオ、複数のシナリオを連続してクリアするキャンペーンシナリオなどが用意されています。
敵を倒して成長していくという一般的なRPGの要素を排除し、シナリオをプレイする楽しさに重点を置いているのが特徴です。冒険中は成長せず、冒険終了後にシナリオの難易度に応じて経験値が加算され、キャラクターが成長します。このシステムは、TRPGに近いと言えます。一応、ラストボスと呼べる「キングドラゴン」が存在しますが、それを倒すことが最終目標ではありません。
『ソーサリアン』は、様々な機種に移植されました。機種ごとに仕様や特徴が異なっており、それぞれ異なる魅力があります。
PC-8801mkIISR版: 最も基本的なバージョンで、システムを改良したVer1.1があります。二段ジャンプの仕様が変更されたのが大きな違いです。BGMはOPN音源で演奏されます。
PC-9801F/U以降版: 冒険中のセーブやスピード変更が可能になり、ダッシュ機能も追加されました。一部シナリオでマップやストーリー展開が変更されています。BGMはOPNの他にBEEP音でも演奏されます。
X1turbo版: 88SR版をベースに移植されましたが、シナリオ内容は98版と同じです。エンディングやグラフィックが専用のものに変更され、BGMはPSG音源とFM音源に対応しています。
PC-88VA版: 98版をベースに移植され、冒険中のセーブやスピード変更、ダッシュ機能も同様です。BGMはOPN音源とOPNA音源に対応しています。
MSX2版: 88SR版をベースに移植されましたが、動作速度に難があり、バグも残っています。BGMはPSG音源とFM音源に対応しています。
PC/AT互換機|PC_AT互換機版: 海外で発売された移植版で、98版をベースにしています。4色表示でMIDIに対応しています。
アレンジバージョン
メガドライブ版: オリジナルシナリオや魔法、職業の種類が変更されています。2022年に発売されたメガドライブミニ2にも収録されています。
PCエンジン版: 3つのオリジナルシナリオを含む全10シナリオで構成され、BGMはCD音源でアレンジされています。声優によるボイスも一部で使用されています。
ドリームキャスト版: 3Dで描画され、システムも一部変更されています。オリジナルシナリオが5つ追加されています。
Windows版『ソーサリアンフォーエバー』: オリジナルシナリオで構成され、ペンタウァの町に魔法学院が追加されました。
Windows版『ソーサリアンオリジナル』: 初期作品群のシナリオに『ソーサリアンフォーエバー』のオリジナルシナリオが追加され、初期作品のシナリオと比較して「暗き沼の魔法使いの迷路が簡単になった」「隠しアイテムがシナリオクリア前に発見できる」等の違いがある。キャラクターのグラフィックが一新され、特定のスキルを取得できるようになった。
iアプリ版: 初期作品群のシナリオから「ロマンシア」が削除され、オリジナルのチュートリアルシナリオが追加されています。
S!アプリ版: iアプリ版とほぼ同内容です。
iアプリ版『アドバンスド ソーサリアン』: iアプリ版をリニューアルし、「戦国ソーサリアン」「ピラミッド・ソーサリアン」を加えたもの。
Windows版『ソーサリアン・コンプリート』: 初期作品群の追加シナリオがプレイできます。
iOS版: 『ソーサリアンオリジナル』をベースに移植し、タッチパネル操作に対応しました。ソーシャルゲームサービスとの連携機能も搭載しています。
X68000: ユーザーによる非公式移植版が存在します。
FM77AV: 移植が検討されていましたが、中止となりました。
開発には、日本ファルコムのメンバーに加え、多くの外部スタッフが携わっています。シナリオライター、ゲームデザイナー、プログラマー、音楽担当、グラフィックデザイナー、イラストレーターなど、様々な分野のプロフェッショナルが集結し、『ソーサリアン』の独特な世界観を創り上げました。
『ソーサリアン』は、その独創的なシステムと、バラエティに富んだシナリオで高い評価を得ています。神谷英樹氏は、自身の作品に影響を与えたゲームとして本作を挙げています。
メガドライブ版: グラフィックや音楽が高く評価され、親切な機能も評価されています。一方で、PC版をプレイ済みのユーザーからは、移植度が低いと指摘されています。
PC/AT互換機|PC_AT互換機版: ミニクエストに分かれたシナリオ構成や多様性が評価されています。アクションスタイルや魔法システムには好みが分かれるようです。
PCエンジン版: 自由度や拡張性の高さが評価され、名作RPGと称賛されています。ミステリー仕立てのシナリオも評価されています。
追加シナリオVol.1: 5本の独立したシナリオを収録しています。
Utillity VOL.1: 特殊なアイテムを売買する道具屋、魔法を直接かける魔法屋、エディタ、ミュージックモード、クイズ、すごろくゲームなどの機能が搭載されています。
追加シナリオVol.2「戦国ソーサリアン」: 日本の戦国時代を舞台にしたキャンペーンシナリオです。ボス戦が難しくなっています。
追加シナリオVol.3「ピラミッドソーサリアン」: 古代エジプト風の島を舞台にしたキャンペーンシナリオです。
新シナリオVol.1「宇宙からの訪問者」: 宇宙からの隕石を軸にしたシナリオです。
Gilgamesh SORCERIAN: 古代種族の謎を解き明かすシナリオです。
Selected SORCERIAN シリーズ: 公募によって選ばれたシナリオを収録しています。
『ソーサリアン』は、ゲーム以外にも、コミック、小説など様々なメディアで展開されています。
コミック版: 月刊コミックコンプに連載され、ドラゴンコミックスで単行本化されました。吉富昭仁氏、真鍋譲治氏、河本ひろし氏など、多くの漫画家が参加しています。
小説版: ソーサリアン創世記として、角川スニーカー文庫から出版されています。
ソーサリアン・レジェンド: アーケードゲームとして開発されましたが、お蔵入りになっています。
* ソーサリアンオンライン: MMORPGとしてサービスされましたが、2012年にサービス終了しています。
『ソーサリアン』は、その自由度の高いゲームシステムと、豊富なシナリオ、魅力的なキャラクターで、多くのファンを魅了しました。現在でも、プロジェクトEGGなどで様々な機種のバージョンが配信されており、その人気は衰えていません。
開発は日本ファルコム自身が行い、プロデューサーは『ザナドゥ』や『イースI』を手掛けた加藤正幸氏、ゲームデザインとプログラムは『ドラゴンスレイヤー』を担当した木屋善夫氏が務めました。シナリオは五十嵐哲也氏、富一成氏、山根ともお氏、都築和彦氏が担当し、音楽は古代祐三氏、石川三恵子氏、竹林令子氏、永田英哉氏が手がけました。イラストは小林誠氏が担当しています。
1988年にはPC-9801やX1turboなどの国内パソコン各機種に移植され、1990年にはメガドライブやPC/AT互換機|PC_AT互換機、1991年にはMSX2、1992年にはPCエンジンSUPER CD-ROM2など、家庭用ゲーム機や海外のパソコン機種にも移植されました。さらに、2003年から2006年にかけては携帯電話ゲームとしても配信されました。リメイク版としては、Windows用ソフト『ソーサリアンフォーエバー』やドリームキャスト用ソフト『ソーサリアン〜七星魔法の使徒〜』、携帯電話ゲーム『アドバンスド ソーサリアン』などが発売され、多くの派生作品も登場しました。
ゲーム内容
システム
ゲームのメイン画面はサイドビューで、左右に任意スクロールします。最大4人のプレイヤーキャラクターでパーティーを組み、武器や魔法を使って敵を倒しながら、ジャンプで障害物を乗り越え、様々なトラップや謎を解きつつ各シナリオをクリアしていきます。
本作の特徴は、何と言っても「自由度の高さ」にあります。しかし、それ故に難易度も高く、後のリメイク版ではシナリオをより楽しむための要素が強化され、ゲームシステムの見直しが行われました。
プレイヤーキャラクター
ゲーム開始時に、プレイヤーが操作するキャラクターを作成します。戦士、魔法使い、ドワーフ、エルフの4種類のクラスがあり、それぞれに男女の性別があります。クラスと性別によって初期能力値が異なり、装備できるアイテムも戦士・ドワーフと魔法使い・エルフで分かれています。
キャラクターの能力値は、以下の7種類です。
STR (Strength): 強さ。武器攻撃の威力に影響します。0以下だと武器攻撃ができません。
INT (Intelligence): 知力。魔法攻撃の威力に影響します。0以下だと魔法を使うことができません。
PRT (Protection): 物理防御。受けるダメージに影響します。
MGR (Magic Resistance): 魔法防御。受けるダメージに影響します。
VIT (Vitality): 体力。低いと高レベルのシナリオで扉を開けることができません。機種によってはダッシュの持続時間にも影響します。
DEX (Dextelity): 器用さ。敵と自分の攻撃タイミングや、トラップ回避に影響します。
KRM (Karma): 魅力。アイテムの価格、装備品に星をかける際の所要期間、レベルアップに必要な経験値、各職業の年収などに影響します。
これらの能力値は、ペンタウァの町の道場で修行することで増加させることができます。また、冒険に出ない時の職業による増減や、冒険中の行動による増減、老年期に達してからの減少など、様々な要因で変化します。能力値の上限と下限はレベルによって決定され、装備品の星による上昇分は上限を超えることができます。HPとMPも基本的にレベルで決まり、種族・性別・能力値の影響は受けません。
さらに、キャラクターは以下の技能を身につけることができます。
アイテム: 冒険で持ち帰ったアイテムを鑑定し、種類や星、使える魔法を知ることができます。
トラップ: トラップの種類を事前に知り、回避率を向上させます。
モンスター: 画面に登場するモンスターの名前や特徴、弱点などを知ることができます。
ハーブ: 薬を調合するのに必要なハーブがあれば、自動的に薬を補充できます。
星: （Windows版以降の追加技能）装備品の星の掛かり方を確認できます。
職業
キャラクターは冒険者であると同時に、冒険に出ていない時は別の職業に就いています。職業は60種類あり、クラス、性別、年齢、能力値によって就ける職業に制限があります。加齢や能力値の変化で条件に合わなくなると解雇されます。
パーティーを組んでいる時や、ペンタウァの町の道場で修行をしている時を除き、1年が経過するごとに職業に応じて経験値や所持金が増加し、能力値も変化します。また、特定のクラスや性別、年齢、職業を持ったキャラクターがいなければクリアできないシナリオも存在します。
ペンタウァの町
冒険の拠点となるのはペンタウァという町です。以下の施設を利用できます。
武器と防具の店: シンプルな装備品が売られています。魔法使い・エルフ用の装備は、初歩的な魔法が使えるようになっています（一部バージョンを除く）。
魔法使いの家: 魔法使いエスターの店。装備品に星をかけてもらう、呪いを解いてもらう、死亡したキャラクターを蘇らせてもらうことができます。
薬屋: ハーブを渡して薬を調合してもらえます。
寺院: 懺悔や祈りを捧げる、死者を蘇らせる、寄付をすることができます。
長老の家: 装備品の星の数や使える魔法を調べてもらえます。星に合わせた魔法の力を引き出してもらうことも可能です。
城の謁見室: レベルアップに必要な経験値を教えてもらい、レベルアップができます。
道場: 能力値や技能を上げるための修行ができます。
星と魔法
ゲームには、火星、水星、木星、月、太陽、金星、土星の7つの魔法要素があり、武器や防具にこれらの要素を組み合わせることで、魔法効果を発動できます。星の魔力は魔法使いのエスターにかけてもらうか、冒険中にアイテムとして入手します。星の組み合わせパターンは非常に多く、120種類の魔法が存在します。また、一部の魔法は星の数を2倍にすることで効果を強化できます。
エスターに星をかけてもらう際、既に付いている星と干渉して、星が変化したり消えたりすることがあります。そのため、通常の組み合わせでは入手できない魔法も存在し、冒険中のアイテムかユーティリティの魔法屋でしか使用できない魔法も存在します。星と魔法は別々に管理されているため、「星は付いているが魔法が使えない」「星は付いていないが魔法が使える」といったアイテムも存在します。
年齢と寿命
プレイヤーキャラクターには年齢の概念があり、冒険に出たり、町で仕事をしたりするだけでも加齢します。年齢によってキャラクターのグラフィックが変化し、老年期に達すると能力が低下し、最終的には老衰で死亡します。老衰で死亡した後は、そのキャラクターの能力を一部引き継いだ子孫キャラクターを作成できます。
この寿命システムが、キャラクター育成の楽しみを阻害してしまう側面もあり、多くのプレイヤーが隠し技で「不老不死」化を行いました。追加シナリオの中には、不老不死キャラクターに対してペナルティを課すものも存在します。
シナリオシステム
本作では、シナリオは外部データを読み込む形式を採用しています。「シナリオの数だけ世界がある」という謳い文句の通り、多種多様なシナリオが存在します。ボスを倒して宝を手に入れる王道的なシナリオ、ボスとの戦闘を回避できるシナリオ、推理小説のようなトリックを解くシナリオ、複数のシナリオを連続してクリアするキャンペーンシナリオなどが用意されています。
敵を倒して成長していくという一般的なRPGの要素を排除し、シナリオをプレイする楽しさに重点を置いているのが特徴です。冒険中は成長せず、冒険終了後にシナリオの難易度に応じて経験値が加算され、キャラクターが成長します。このシステムは、TRPGに近いと言えます。一応、ラストボスと呼べる「キングドラゴン」が存在しますが、それを倒すことが最終目標ではありません。
他機種版
『ソーサリアン』は、様々な機種に移植されました。機種ごとに仕様や特徴が異なっており、それぞれ異なる魅力があります。
PC-8801mkIISR版: 最も基本的なバージョンで、システムを改良したVer1.1があります。二段ジャンプの仕様が変更されたのが大きな違いです。BGMはOPN音源で演奏されます。
PC-9801F/U以降版: 冒険中のセーブやスピード変更が可能になり、ダッシュ機能も追加されました。一部シナリオでマップやストーリー展開が変更されています。BGMはOPNの他にBEEP音でも演奏されます。
X1turbo版: 88SR版をベースに移植されましたが、シナリオ内容は98版と同じです。エンディングやグラフィックが専用のものに変更され、BGMはPSG音源とFM音源に対応しています。
PC-88VA版: 98版をベースに移植され、冒険中のセーブやスピード変更、ダッシュ機能も同様です。BGMはOPN音源とOPNA音源に対応しています。
MSX2版: 88SR版をベースに移植されましたが、動作速度に難があり、バグも残っています。BGMはPSG音源とFM音源に対応しています。
PC/AT互換機|PC_AT互換機版: 海外で発売された移植版で、98版をベースにしています。4色表示でMIDIに対応しています。
アレンジバージョン
メガドライブ版: オリジナルシナリオや魔法、職業の種類が変更されています。2022年に発売されたメガドライブミニ2にも収録されています。
PCエンジン版: 3つのオリジナルシナリオを含む全10シナリオで構成され、BGMはCD音源でアレンジされています。声優によるボイスも一部で使用されています。
ドリームキャスト版: 3Dで描画され、システムも一部変更されています。オリジナルシナリオが5つ追加されています。
Windows版『ソーサリアンフォーエバー』: オリジナルシナリオで構成され、ペンタウァの町に魔法学院が追加されました。
Windows版『ソーサリアンオリジナル』: 初期作品群のシナリオに『ソーサリアンフォーエバー』のオリジナルシナリオが追加され、初期作品のシナリオと比較して「暗き沼の魔法使いの迷路が簡単になった」「隠しアイテムがシナリオクリア前に発見できる」等の違いがある。キャラクターのグラフィックが一新され、特定のスキルを取得できるようになった。
iアプリ版: 初期作品群のシナリオから「ロマンシア」が削除され、オリジナルのチュートリアルシナリオが追加されています。
S!アプリ版: iアプリ版とほぼ同内容です。
iアプリ版『アドバンスド ソーサリアン』: iアプリ版をリニューアルし、「戦国ソーサリアン」「ピラミッド・ソーサリアン」を加えたもの。
Windows版『ソーサリアン・コンプリート』: 初期作品群の追加シナリオがプレイできます。
iOS版: 『ソーサリアンオリジナル』をベースに移植し、タッチパネル操作に対応しました。ソーシャルゲームサービスとの連携機能も搭載しています。
その他
X68000: ユーザーによる非公式移植版が存在します。
FM77AV: 移植が検討されていましたが、中止となりました。
スタッフ
開発には、日本ファルコムのメンバーに加え、多くの外部スタッフが携わっています。シナリオライター、ゲームデザイナー、プログラマー、音楽担当、グラフィックデザイナー、イラストレーターなど、様々な分野のプロフェッショナルが集結し、『ソーサリアン』の独特な世界観を創り上げました。
評価
『ソーサリアン』は、その独創的なシステムと、バラエティに富んだシナリオで高い評価を得ています。神谷英樹氏は、自身の作品に影響を与えたゲームとして本作を挙げています。
メガドライブ版: グラフィックや音楽が高く評価され、親切な機能も評価されています。一方で、PC版をプレイ済みのユーザーからは、移植度が低いと指摘されています。
PC/AT互換機|PC_AT互換機版: ミニクエストに分かれたシナリオ構成や多様性が評価されています。アクションスタイルや魔法システムには好みが分かれるようです。
PCエンジン版: 自由度や拡張性の高さが評価され、名作RPGと称賛されています。ミステリー仕立てのシナリオも評価されています。
追加シナリオ集・ユーティリティ
追加シナリオVol.1: 5本の独立したシナリオを収録しています。
Utillity VOL.1: 特殊なアイテムを売買する道具屋、魔法を直接かける魔法屋、エディタ、ミュージックモード、クイズ、すごろくゲームなどの機能が搭載されています。
追加シナリオVol.2「戦国ソーサリアン」: 日本の戦国時代を舞台にしたキャンペーンシナリオです。ボス戦が難しくなっています。
追加シナリオVol.3「ピラミッドソーサリアン」: 古代エジプト風の島を舞台にしたキャンペーンシナリオです。
新シナリオVol.1「宇宙からの訪問者」: 宇宙からの隕石を軸にしたシナリオです。
Gilgamesh SORCERIAN: 古代種族の謎を解き明かすシナリオです。
Selected SORCERIAN シリーズ: 公募によって選ばれたシナリオを収録しています。
派生作品
『ソーサリアン』は、ゲーム以外にも、コミック、小説など様々なメディアで展開されています。
コミック版: 月刊コミックコンプに連載され、ドラゴンコミックスで単行本化されました。吉富昭仁氏、真鍋譲治氏、河本ひろし氏など、多くの漫画家が参加しています。
小説版: ソーサリアン創世記として、角川スニーカー文庫から出版されています。
その他の派生作品
ソーサリアン・レジェンド: アーケードゲームとして開発されましたが、お蔵入りになっています。
* ソーサリアンオンライン: MMORPGとしてサービスされましたが、2012年にサービス終了しています。
『ソーサリアン』は、その自由度の高いゲームシステムと、豊富なシナリオ、魅力的なキャラクターで、多くのファンを魅了しました。現在でも、プロジェクトEGGなどで様々な機種のバージョンが配信されており、その人気は衰えていません。
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