ロモノソフ海嶺

ロモノソフ海嶺の概要

ロモノソフ海嶺（ロシア語: Хребет Ломоносова、英語: Lomonosov Ridge）は、北極海に存在する重要な海嶺です。この海嶺は、ノヴォシビルスク諸島を出発点とし、北極海を越えてエルズミーア島までの約1800kmにわたって広がっています。海嶺の幅は60kmから200km、海底からの高さは3300mから3700mに達し、最も高い地点では水面下で954mの深さに位置しています。

ロモノソフ海嶺はその厳しい地形によって特徴付けられ、多くの山々は峡谷によって隔てられ、山肌はシルトに覆われています。この地形が影響を及ぼし、北極海盆は2つの主要な部分、即ちノルウェーから西シベリアのユーラシア海盆と、東シベリアからアラスカ、カナダ方面にかけてのアメラジアン海盆に分割されます。

歴史と発見

ロモノソフ海嶺は1948年にソビエト連邦の緯度調査において発見され、その名はロシアの科学者ミハイル・ロモノーソフに由来します。この名称は2002年に国際連合の委員会によって正式に承認されました。この海嶺の特異な位置と構造は、地質学的な観点からも興味深い研究対象となっています。

領有権争いと国際的な動き

2000年代に入ると、ロシア連邦は国際連合に海洋法に基づく文書を提出しました。この文書では、従来の200海里の制限を越えてロシアの大陸棚の海域を拡大する主張がなされ、特に北極海の大部分をロシアの管轄下に置くことを目指していました。彼らの主な主張は、ロモノソフ海嶺およびメンデレーエフ海嶺がユーラシア大陸の延長部であるという点です。しかし、国際連合はロシアの主張に対して明確な承認も拒否もせず、さらなる調査が求められるとの結論に至りました。

それ以降、ロシアは北極海地域の探索活動を継続していますが、他の国々もこの地域に対する関心を高めています。例えば、デンマークではこの海嶺がグリーンランドの延長部に属すると考えられることから、その権利を主張する動きが見られます。さらに、カナダも自国の海域を含む大陸棚の権利についての主張を強めています。これにより、ロモノソフ海嶺周辺は多国間の領有権争いが続く地域となっています。

2007年の調査活動

ロモノソフ海嶺における一つの注目すべき出来事は、2007年のロシアによる調査活動です。この年の6月、ロシアは砕氷船と潜水艦ミール1およびミール2を派遣し、水面下4261mまで潜水しました。さらには、10月2日に北極点直下にチタン製の国旗を掲げることで、自国の領有権を象徴的に主張したのです。この行為は、カナダやデンマークなど他国からの反発を招く結果となりました。

このように、ロモノソフ海嶺はその地理的特徴や歴史的背景から、国際的な注目を集め続けています。今後の展開についても関心が寄せられ、研究や探査活動が進むことで、新たな発見や国際的な合意が期待されています。

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