ロレント (ファイナルファイト)

ロレント (Rolento)

ロレントは、カプコンの人気ベルトスクロールアクションゲーム『ファイナルファイト』シリーズおよび、その後の世界観を引き継ぐ対戦型格闘ゲーム『ストリートファイターZERO』シリーズなどで活躍する架空の人物です。

人物像

犯罪組織マッドギアの元主要メンバーであり、かつては特殊部隊レッドベレーに所属していた過去を持ちます。爆発物や銃火器、そして接近戦の技術に長けた戦闘のエキスパートです。カーキ色の軍服と鮮やかな赤いベレー帽を身に着け、顔に斜めに走る大きな傷跡がトレードマークとなっています。一人称に「吾輩（我が輩）」を用いるなど、言動の端々から軍人らしさが感じられます。東ドイツで生を受け、後にアメリカへ亡命。各地の紛争に傭兵として参加した後、マッドギアに関わり、コカイン精製工場の設立にも携わりました。現在はアメリカのニューヨークを主な活動拠点としています。

マッドギア壊滅後、ロレントは独自の理想を掲げます。それは、アメリカの全ての国民を軍人とし、究極の国防体制を築くことで完璧な平和を実現するという壮大な構想です。この理想の実現に向けて、彼は新生マッドギアの旗揚げを目指し、元組織の仲間であるエルガドやハリウッドらと共に、新たな戦力となる人材を求め世界中を飛び回っています。

戦闘スタイルと信条

ロレントの戦闘は、「勝利のためならば手段を選ばない」という徹底した信条に基づいています。主武器であるロッドをはじめ、手榴弾やナイフといった多様な武器を駆使して戦います。その戦い方は、相手によっては「卑怯」と映ることもあり、『ストリートファイターZERO3』では、リュウや春麗などからその姿勢を批判される場面も見られます。しかし、本人は『ストリートファイターZERO2』での勝利メッセージで、「卑怯者とは、敗者から聞ける最高の褒め言葉だ」と語っており、こうした批判を意に介さないどころか、むしろ誇りとしている節があります。勝利時には相手に手榴弾を投げつけるパフォーマンスを見せる一方で、時間切れで敗北した際には、自ら手榴弾を爆破させて散るという特異な行動をとります。

ストーリー上の活躍

『ストリートファイターZERO3』では、かつて敵対したコーディーのポテンシャルに目をつけ、自らの部隊に引き入れようとしますが、彼の荒んだ現状に落胆し、計画を断念します。その後、強大な力を持つシャドルーのサイコドライブを奪取するためベガと対峙しますが、結局はサイコドライブもシャドルーの基地も自らの理想とは相容れないとして破壊します。また、マッドギア時代の同志であるソドムとは、互いの理想を認め合う関係を築いています。

『ストリートファイターEX』シリーズでは、ドクトリン・ダークの物語に深く関わります。ロレントの部隊は、ダークが所属していた特殊部隊を壊滅させ、ダーク自身に精神的・肉体的な深い傷を負わせました。この出来事が、ダークの性格を歪め、ガイルやロレントへの復讐を誓うきっかけとなります。

『ウルトラストリートファイターIV』では、S.I.N.が開発した能力強化装置の情報を掴み、これを新生マッドギアの軍備増強に利用しようと企てます。この作品では、彼の部下たちの具体的な姿も描写されており、彼らもまたロレントと同様の軍服と赤いベレー帽、そしてゴーグルを装着しています。

『ファイナルファイト』シリーズでの登場

初登場作品である『ファイナルファイト』では、ステージ4のボスとして登場します。舞台となるエレベーター内で、部下を引き連れて襲いかかります。エレベーターの外から手榴弾を投げつけたり、素早い動きからのロッド攻撃、飛び蹴り、投げなどでプレイヤーを苦しめます。体力が減少すると、大量の手榴弾をばら撒きながら縦横無尽に駆け回るようになります。倒されると自爆しますが、この爆風には攻撃判定がありません。容量の問題からスーパーファミコン移植版ではこのステージごと削除されていましたが、後の『ファイナルファイトONE』で移植が実現し、ソドムと共に会話デモも追加されました。『ファイナルファイト2』にも引き続き登場し、イタリアステージのボスとして、前作同様の高速移動と手榴弾攻撃で立ちはだかります。

『ストリートファイターZERO』以降のゲームシステム

格闘ゲーム作品でのロレントは、リーチの長いロッド攻撃を持ちますが、全体的に大振りで隙が多い傾向にあります。防御力や体力は低めであり、無敵技も少ないため、相手と真っ向から殴り合うことは苦手です。しかし、通常よりも高く遠くへ跳ぶ「スカウタージャンプ」や、奇襲技である「メコンデルタアタック」など、移動や回避を兼ねた必殺技を多く持ち、特に空中での機動力に優れています。連続入力技である「パトリオットサークル」はコンボに組み込むことでダメージ源となります。スーパーコンボの「テイクノープリズナー」や「マインスイーパー」は、決まれば大ダメージを奪える強力な技です。

『ウルトラストリートファイターIV』では、一部性能が変更されましたが、オメガエディションでは『ZERO』シリーズに近い素早い動きが再現され、新たな技も追加されるなど、スピードと攻撃力に磨きがかかっています。

クロスオーバー作品での登場

他社のキャラクターが登場するクロスオーバー作品にも姿を見せています。『CAPCOM VS. SNK 2』では、SNK側のキャラクターからその狂信的な思想や危険性を指摘されています。また、『ストリートファイター X 鉄拳』では、いぶきとタッグを組み、「パンドラの箱」を破壊するために行動を共にしています。

彼のキャラクターデザインはあきまん氏が手掛けており、マッドギアの中でもボス格としての威厳を持たせる意図が込められていると語られています。

主な登場作品には、『ファイナルファイト』シリーズ各作、『ストリートファイターZERO』シリーズ（2以降）、『ウルトラストリートファイターIV』、『CAPCOM VS. SNK 2』、『ストリートファイター X 鉄拳』などがあります。元同僚であるソドムやポイズン、アンドレ、そして敵対することの多いコーディーやガイ、マキなど、様々なキャラクターと関わりを持っています。

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