ロワイヤン

ロワイヤン（Royan）は、フランス南西部に位置するヌーヴェル＝アキテーヌ地域圏、シャラント＝マリティーム県に属する海沿いのコミューン（地方自治体）です。国際的に知られる海岸リゾート地として、その名を馳せています。この町の住民は、男性をロワイヤネ（Royannais）、女性をロワイヤネーズ（Royannaises）と呼びます。

美しい海岸線が続く「コート・ド・ボーテ」の中心に位置するロワイヤンは、フランスの大西洋沿岸における有数のリゾート地として数えられます。町には五つの美しいビーチがあり、千艘以上のボートが係留できる大規模なマリーナや、今なお現役の漁港も備わっています。地理的には、アルヴェール半島にあり、フランス最大の三角江であるジロンド川の河口東岸に面しています。大西洋に直接面しており、北に約60km離れたラ・ロシェルや、南に約100km離れたボルドーといった主要都市からのアクセスも可能です。人口については、2015年時点で町自体には18,393人の住民がおり、2013年現在の広域都市圏人口はおよそ48,982人となっています。

ロワイヤンはその地理的な位置から、古くから戦略上の要衝であり続けました。特に西ゴート族やヴァイキングといった勢力にとって、この地は非常に魅力的な目標でした。中世を経て、宗教改革の時代にはプロテスタントの主要な拠点となりましたが、フランス王ルイ13世による包囲攻撃を受け、壊滅的な打撃を受けました。しかし、その回復力は強く、復古王政期から、特に第二帝政期にかけては、海水浴場として広く知られるようになり、リゾート地としての基盤が築かれました。1920年代の「狂騒の時代」には、多くの芸術家たちがこの地に惹きつけられ、訪れるようになりました。

しかし、第二次世界大戦末期、1944年9月と1945年4月の連合国軍による激しい爆撃により、町はほぼ完全に破壊されてしまいました。この壊滅的な被害から、「殉教の町」とも呼ばれたロワイヤンは、戦後に「都市計画の実験場」として位置づけられ、大胆な再建計画が進められました。その結果、現在では1950年代の近代建築様式を代表する街として知られています。その歴史的、建築的な価値が認められ、2010年にはフランスの「芸術と歴史の街(Ville d'Art et d'Histoire)」に登録されました。

現代のロワイヤンは、再び活気を取り戻し、観光と文化の中心地として栄えています。特に夏の間には、国内外から年間およそ九万人の観光客が訪れ、その美しいビーチやユニークな都市景観を楽しんでいます。

国際交流にも積極的で、以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。

ゴスポート（イギリス）
バリンゲン（ドイツ）
* ナフプリオ（ギリシャ）

ロワイヤンは、その波乱に満ちた歴史と、現代的なリゾートとしての魅力が融合した、ユニークな特徴を持つ町と言えるでしょう。

もう一度検索