ロンゲラップ環礁

ロンゲラップ環礁は、ミクロネシアのマーシャル諸島に属する環礁であり、61の小さな島々から構成されています。環礁全体の面積は約1,000平方キロメートルに及びますが、島々の総面積はわずか8平方キロメートルほどです。環礁の西にはアイリンギナ環礁、東にはロンゲリック環礁が隣接しています。

この環礁は、1954年にアメリカ合衆国がビキニ環礁で行った核実験「キャッスル作戦」によって深刻な放射能汚染に見舞われました。特に、3月1日に行われた水爆実験「ブラボー」は、大量の放射性降下物をロンゲラップ環礁に降らせ、住民や周辺を航行していた日本の漁船（第五福竜丸など）を含む多くの人々に被曝被害をもたらしました。

被曝の歴史

アメリカ合衆国は1946年から1958年にかけて、ロンゲラップ環礁から約240キロメートル離れたビキニ環礁で、核兵器実験を繰り返しました。1954年の「キャッスル作戦」における水爆実験（ブラボー）は、特に大きな影響を与え、ロンゲラップ環礁の住民に深刻な健康被害をもたらしました。実験から3日後、ロンゲラップ島の住民64人は平均1.75グレイもの放射線を浴び、財産を置き去りにしたままクェゼリン環礁へ強制的に移住させられました。彼らはその後、放射線治療を受けましたが、故郷を離れざるを得ませんでした。

1957年、アメリカ合衆国はロンゲラップ環礁の「安全宣言」を発表し、住民の帰還を許可しましたが、帰還した住民の多くに甲状腺腫瘍が発生し、子供たちは白血病で命を落としました。ロンゲラップの元村長ジョン・アンジャイン氏も、被曝した息子レコジ氏を白血病で失い、レコジ氏は「人類初の水爆死者」と呼ばれました。

1985年、環境保護団体グリーンピースは、ロンゲラップ環礁の住民を救出し、クェゼリン環礁のメジャット島とエベイ島に避難させました。しかし、避難先の島は過密な人口問題を抱え、失業と自殺が多発するなど、住民にとって安住の地とはなりませんでした。

1996年、アメリカ合衆国内務省は4,500万ドルを投じて、ロンゲラップ環礁に残る汚染土壌の除去作業を開始しました。当初、この作業は不可能だという意見もありましたが、ロンゲラップの村長ジェイムス・マタヨシ氏は、「作業は順調に進んでおり、明るい未来を約束する」と述べています。現在も放射能汚染除去作業は続けられており、マーシャル諸島共和国政府は、核実験の被害補償が不十分であるとして、アメリカ合衆国議会に新たな補償を要求しています。住民の帰還に向けた努力が続けられており、ロンゲラップ環礁の復興への道のりは、まだ長いですが、住民たちは希望を失わずに前進しています。

参照項目

外部リンク
ロンゲラップ環礁公式サイト
グリーンピースによるロンゲラップ避難の歴史
ラヂオ・ビキニ（アカデミー賞にノミネートされたドキュメンタリー）
Het Einde van de Wereld（オランダのドキュメンタリー）
関連項目
* ラリック列島

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