ロンシール工業

ロンシール工業株式会社

ロンシール工業株式会社（Lonseal Corporation.）は、軟質塩化ビニール（塩ビ）製品を主力とする日本の化学メーカーです。その社名は、同社が製造する塩化ビニール製のレザーシートの商品名に由来しており、企業のアイデンティティが製品と深く結びついていることを示しています。

事業内容と主な製品

同社は、建築分野を中心に多岐にわたる塩ビ製品を展開しています。主な製品カテゴリーは以下の通りです。

内装材: 建物の内部空間に使用される製品です。
床材: 特に「ロンリウム」という商品名で知られるシート状の床材は、耐久性やメンテナンス性に優れ、病院や学校、商業施設などで広く採用されています。
壁紙: 「ロンシール」の商品名を持つ塩ビ製の壁紙は、機能性とデザイン性を兼ね備え、多様な空間の仕上げに用いられています。1958年に発売された「ロンカラースーパー」は、日本初のビニール製壁紙として画期的な製品でした。
車両用床材・カーテン: 鉄道車両やバスなどの内装に使用される、難燃性などの厳しい基準を満たした床材やカーテンを製造しています。
建築用防水材料: 建物の屋上やベランダなど、防水性が必要な箇所に使用されるシート状の防水材を提供しています。
フィルム: 包装材や産業資材などに使われる塩ビフィルムを製造しています。
接着剤: 製品の施工に不可欠な接着剤も自社で提供しており、「ロンセメント」などの商品名があります。

沿革

ロンシール工業の歴史は、戦前のゴム製品製造に始まります。

1928年、川口鷲太郎氏により東京都葛飾区に川口ゴム製作所が創立されました。創業当初は医療用・工業用ゴム製品や輸出用玩具などを製造していました。
1943年には、組織変更により川口ゴム工業株式会社が設立されます。
戦後間もない1947年には、日本国内でいち早く塩化ビニール製品の製造に着手し、この分野のパイオニアとしての地位を確立しました。
1950年にはゴム製品の製造から撤退し、以降は塩化ビニール製品専業メーカーとしての道を歩み始めました。
1958年には、日本で初めてのビニール製壁紙となる「ロンカラースーパー」を発売し、建築内装市場に大きな影響を与えました。
事業拡大に伴い、1960年に埼玉県に蒲生工場、1968年には茨城県に土浦工場（現在の土浦事業所）を新設しました。
1961年には食品包装用ビニールシートの分野にも進出しています。
株式上場も果たしており、1962年に東京証券取引所市場第二部、1970年には大阪証券取引所市場第二部に上場しました（大阪証券取引所の上場は2003年に廃止）。
1972年、代表的な商品名にちなんでロンシール工業株式会社へ社名を変更しました。
1980年には岡山県に岡山工場を新設しましたが、生産体制の効率化を進め、1984年には蒲生工場を、1995年には岡山工場を土浦工場に集約し、生産拠点を土浦に一本化しました。
本社機能は複数回移転しており、1985年に東京都千代田区へ、1990年に東京都墨田区へ移転しました。2025年には東京都港区への移転が予定されています。
* 品質管理においては、1996年に日本の塩化ビニル加工業界で初めてISO9001の認証を一括取得するなど、業界をリードする取り組みを行っています。また、環境マネジメントシステムのISO14001についても、2007年に土浦事業所で認証を取得しています。

その他

創業者の川口鷲太郎氏は、競走馬の馬主としても知られており、「トキツカゼ」や「オートキツ」といった活躍馬を所有していました。これは、企業の創業者にまつわる興味深いエピソードとして語られています。

ロンシール工業は、塩化ビニール製品の専門メーカーとして、長年にわたり日本の建築文化や産業の発展に貢献してきました。品質へのこだわりと、多様なニーズに応える製品開発を通じて、今後も事業を展開していくものと見られます。

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