ロンドン覚書

ロンドン覚書の概要

ロンドン覚書は、1862年に日本とイギリスの間で締結された重要な合意であり、日本の開国に関する歴史的な背景を反映しています。この覚書は、江戸幕府が派遣した文久遣欧使節団が締結したもので、開市・開港の延期に関する内容が盛り込まれています。

背景

1860年代初頭、日本は欧米列強との間で相次いで修好通商条約を締結し、その中で開国を迫られていました。具体的には、1858年に締結された安政五カ国条約において、江戸と大阪の開市、そして新潟と兵庫の開港が約束されていました。しかし、国内事情の影響を受け、経済や政治の問題からこれらの約束を履行することが困難になっていました。

文久遣欧使節団の派遣

この状況を打破するため、幕府は文久遣欧使節団を派遣しました。使節団は最初にフランスを訪れ、外相と交渉を試みましたが、結局うまくいかずに失敗に終わりました。その後、イギリスに向かい、英外相ラッセルとの交渉を行いました。

覚書の締結

1862年6月6日、この使節団は駐日英国公使ラザフォード・オールコックと共にロンドン覚書を締結しました。この覚書により、日本の開市・開港は延期されることとなりました。その後、イギリスからの働きかけを受けて、他の国々との交渉も進展し、同年10月2日にはパリ覚書を結び、一定の解決を見ました。

延期の条件

ロンドン覚書の主な内容には、日本が開市開港の延期を受け入れる代わりに、関税の低減や貿易の自由化といった条件が含まれていました。この代償が履行されない場合、延期が取り消されることも明記されていました。

このように、ロンドン覚書は日本にとって多くの困難を伴った開国を進める上で、重要な転機となったのです。この覚書の影響は後の国際関係にも大きな影響を及ぼしました。

参考文献

• - 宮永孝「幕末遣欧使節団」、講談社 (2006/3/11)、ISBN 978-4061597532
• - 『国史大辞典』「両都両港開市開港延期問題」秋元益利「ロンドン覚書」「パリ覚書」、吉川弘文館、1983年

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