ロヴチェン山

ロヴチェン山:モンテネグロの象徴



ロヴチェン山は、モンテネグロツェティニェに位置する標高1,749mの山です。その名はモンテネグロの国名の由来となり、国家の象徴として重要な存在です。一帯は国立公園に指定されており、自然の美しさと歴史的な価値が評価されています。

地理と気候



コトル湾を望むロヴチェン山は、石灰岩苦灰岩で形成されたカルスト地形が特徴的です。地理的な位置から、海洋性気候と大陸性気候の両方の影響を受け、多様な生態系を育んでいます。西側は海に面し、東側は陸地が広がっているため、気候の変化に富んでいます。

名前の由来



13世紀には「ツルナ・ゴーラ(黒い山)」と呼ばれていた記録が残っています。これは、遠くから見ると森林が密集して山が黒く見えたためです。この「ツルナ・ゴーラ」をヴェネト語に翻訳したものが「モンテネグロ」という国名になりました。

国立公園としてのロヴチェン山



ロヴチェン国立公園は、62.20平方キロメートルの広さを誇り、1952年に指定されました。自然の美しさはもちろんのこと、歴史的、文化的、建築的にも重要な場所として保護されています。伝統的な牛飼いの小屋や、ペトロヴィッチ=ニェゴシュ朝王家の生誕地であるニェグシコトルを結ぶ道など、モンテネグロの歴史を物語る史跡が点在しています。

公園内で最も重要なモニュメントは、ペタル2世廟です。ペタル2世の死後120年を経た1971年、彼の遺志に基づき、山頂に建設されました。廟からはモンテネグロの雄大な景色を一望できます。

第一次世界大戦の舞台



ロヴチェン山は、第一次世界大戦において重要な戦場となりました。モンテネグロ王国はセルビア王国と同盟を結び、オーストリア=ハンガリー帝国と戦いました。モンテネグロ軍はロヴチェン山からコトル湾のオーストリア=ハンガリー海軍基地を攻撃しましたが、帝国海軍の反撃に遭い、激戦が繰り広げられました。

フランス軍もモンテネグロを支援するためにロヴチェン山に大砲を運び込み、オーストリア=ハンガリー軍と砲撃戦を展開しました。しかし、最終的にはオーストリア=ハンガリー軍がロヴチェン山を占領し、モンテネグロは降伏、ニコラ1世は亡命を余儀なくされました。

ロヴチェン山の周辺



セルビアのヴォイヴォディナ自治州には、ロヴチェナツという自治体があります。ここは、モンテネグロからの移住者が故郷の山にちなんで名付けた場所です。ロヴチェン山の名前は、遠く離れた場所でもモンテネグロの人々の心に生き続けています。

ロヴチェン山は、モンテネグロの自然、歴史、文化を象徴する場所です。その美しい景観と豊かな歴史は、訪れる人々を魅了し続けています。

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