ロータス・100T

ロータス・100T (Lotus 100T)

ロータス・100Tは、1988年のF1世界選手権に向けてチーム・ロータスが開発した競技用車両です。このモデルはジェラール・ドゥカルージュとマーティン・オジルビーによりデザインされ、シーズンを通じて数々のレースで実戦投入されました。

1988年シーズンの概要

1988年のF1シーズンで、ロータス・100Tはホンダ製の1.5L V6ターボエンジンを搭載しています。前年の99Tモデルはアクティブサスペンションを搭載していましたが、100Tではパッシブサスペンションに切り替えられ、ダンパーの駆動方式も変更されました。これに伴い、ドライバーの脚上にフロントダンパーが配置され、車両のデザインも変化を遂げました。また、ターボ車に対する燃料制限が厳しくなり、燃料タンクの容量は150Lと制限されました。

マクラーレンからアイルトン・セナが移籍し、その穴を埋める形でウィリアムズからネルソン・ピケを迎えました。ピケは前年のチャンピオンであり、ゼッケンはピケに1、中嶋悟に2が割り当てられました。

チーム運営と成績

しかし、チームの体制や設備は時代遅れとなり、慢性的な資金不足も相まって開発が進まず、車体の信頼性に深刻な問題が生じました。予選では両ドライバーともに中団以降に沈むケースが多く、中嶋は予選落ちを2度経験するなど、強豪のマクラーレン・MP4/4とは明らかに性能差がありました。同じホンダエンジンを搭載しているにもかかわらず、100Tの最高位は3位までと厳しい状況でした。

当初の期待とは裏腹に、セナとアラン・プロストのいるマクラーレンにはほとんど近づけず、シーズンを通じての成績は散々なものでした。コンストラクターズランキングでは他の弱小チームと同等の位置に甘んじ、最終的には未勝利のアロウズと同点の23点を獲得し4位に留まりました。ピケは第6戦デトロイトGPにおいて、チームが100Tのセッティングに迷走していると語り、重量配分の問題を抱えたロングホイールベース仕様のシャシーが原因でパフォーマンスが悪化したことを示唆しました。

中嶋悟の活躍とホンダエンジンの評価

第7戦フランスGPでは中嶋が高い順位をキープしていたものの、マシントラブルに見舞われ入賞のチャンスを逃しました。シーズン終盤には、ピケがオーストラリアGPで3位に入り、ホンダ・ターボエンジンによる1-2-3フィニッシュを達成しましたが、これはロータスにとっての最後の表彰台となりました。ピケは移籍当初の目標が達成できなかったが、ホンダエンジンについては「今年で3年乗ってきたホンダのエンジンは強力だった」と感謝の意を示しました。

100Tのエピソード

タミヤ模型は100Tの1/12スケールモデルの制作を計画しましたが、シーズン初頭の成績が思わしくなく、モデルの発売は中止となりました。また、エンジニアのジェラール・ドゥカルージュは、マクラーレンとの比較において100Tの立ち遅れを指摘しましたが、改善策は見出せませんでした。

仕様と性能

100Tはカーボンファイバー製のモノコックシャーシを採用し、プッシュロッド式のダブルウィッシュボーン型サスペンションを持ち、540kgの重量と2,775mmのホイールベースを特徴としていました。エンジン性能も前年型の99Tから大きくは変わらず、ホンダ・RA168Eを搭載。

成績の記録

シーズンを通じての結果は、コンストラクターズランキング4位、ドライバーズランキングではピケが6位、中嶋悟が16位でした。シーズンを通じての成績は決して満足のいくものではなく、改良が急務であったことを示しています。

もう一度検索