ロータリーキルン

ロータリーキルンとは

ロータリーキルンは、円筒状の窯を回転させながら、内部で物質を高温で処理する装置です。主にセメント製造などの窯業で使用され、原料の投入から処理までを連続的に行えるのが特徴です。一般的には1,000°C以上の高温で物質を反応させる焼成に用いられます。

ロータリーキルンの構造

セメント製造に使用されるロータリーキルンは、以下の様な構造をしています。

サイズ: 直径4 - 6m、長さ60 - 100m
傾斜: 3 - 4%
回転数: 2 - 4rpm
内部温度: 入り口付近で400°C、炎の部分で最高1,450°C

キルン内部では、原料がゆっくりと回転しながら移動し、セメント製造の場合、約30分間滞留します。燃料には重油や石炭（微粉炭）が使用されますが、近年では再生重油や廃タイヤ、廃プラスチックなどの廃棄物由来の燃料も利用されています。

キルン本体は厚さ15 - 30mmの炭素鋼でできており、内部は耐火煉瓦で内張りされています。外側には回転力を伝える駆動ギヤと、キルンを支える鉄製のタイヤが装備されています。

ロータリーキルンの用途

ロータリーキルンは、様々な用途に利用されています。

セメント製造
生石灰製造
軽量骨材製造
鉱石の焼成
廃棄物焼却処理
家畜糞の炭化
水銀の製錬

特にセメント製造においては、ロータリーキルンは不可欠な装置です。また、廃棄物処理施設としても利用され、油泥や廃プラスチック類の焼却、金属類の揮発・分離処理、都市ごみ焼却灰の再資源化などに用いられています。

廃棄物処理施設としてのロータリーキルン

ロータリーキルンは、廃棄物をゆっくりとした回転で攪拌しながら焼却するのに適しています。ガス化しやすい油泥や廃プラスチック類を燃焼させるのに利用されます。また、廃棄物に含まれる金属類の揮発・分離処理や、都市ごみ焼却灰の焼成再資源化を行うロータリーキルンも存在します。

廃棄物処理においては、燃焼や揮発によって様々な生成物が生成されるため、漏洩防止に特に注意して設計・製作が行われます。一般的に、セメント工業で使用されるものよりも小型のものが使用されます。

まとめ

ロータリーキルンは、窯業だけでなく、廃棄物処理や資源リサイクルなど、幅広い分野で活躍する重要な装置です。その構造と機能を理解することで、現代社会における様々な産業の基盤を支えていることがわかります。

参考文献

『セラミック材料入門』 加藤誠軌 アグネ技術センター 2008年2月

関連項目

焼却炉

外部リンク

ロータリーキルン - コトバンク

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