ローデシア紛争

ローデシア紛争：白人支配と黒人独立運動の激突

1965年から1979年にかけて、現在のジンバブエ共和国にあたるローデシアで勃発したローデシア紛争は、白人少数派政権と黒人独立運動勢力間の激しい対立と、国際的な大国や周辺国の介入が複雑に絡み合った紛争でした。この紛争は、単なる内戦ではなく、植民地主義の終焉とアフリカにおける民族自決という大きな歴史的文脈の中に位置付けられます。

紛争の勃発：白人政権の独立宣言

戦前のローデシアは、イアン・スミス率いる白人政権が支配する植民地でした。有色人種の独立運動は厳しく弾圧され、黒人の政治的権利は著しく制限されていました。一方、宗主国イギリスは、アフリカ諸国の相次ぐ独立を目の当たりにし、ローデシアにおける黒人の参政権を保障する形で独立を進めようとしました。しかし、白人政権はこれを拒否し、1965年11月11日、イギリスからの一方的な独立宣言を行い、イギリス総督を追放しました。この宣言が、ローデシア紛争の引き金となったのです。

激化するゲリラ闘争：抵抗勢力の台頭

独立宣言後、ローデシア政府軍と、ソ連や中国などの支援を受けたアフリカ人抵抗勢力との間で、本格的なゲリラ戦が開始されました。主要な抵抗勢力としては、ジンバブエ・アフリカ人民同盟（ZAPU）とジンバブエ・アフリカ民族同盟（ZANU）が挙げられます。ZAPUはソ連、ZANUは中国からの支援を受けており、両勢力はしばしば対立しながらも、共通の目標である白人政権打倒を目指して戦いました。

さらに、隣国モザンビークの独立戦争を戦っていたモザンビーク解放戦線（FRELIMO）、南アフリカ共和国のアパルトヘイト政策に反対するアフリカ民族会議（ANC）なども抵抗勢力を支援しました。ANCの軍事部門であるウムコントゥ・ウェ・シズウェは、ローデシアにゲリラ兵を潜入させていました。

国際社会の関与：支援と圧力

この紛争は、国際社会の関与を大きく受けました。南アフリカ共和国やポルトガルは、アパルトヘイト政策や植民地支配を維持したいという思惑から、ローデシア政府を支援しました。一方、ザンビア、タンザニア、リビア、エチオピアなどのアフリカ諸国は、抵抗勢力を支援し、ソ連や中国なども武器や資金援助を行いました。北朝鮮は、ZANUのゲリラ兵に対して軍事訓練を提供していました。

1970年代には、ヘンリー・キッシンジャー米国務長官が、ローデシア政府に対し黒人多数支配への移行を強く促すなど、アメリカ合衆国も事態の解決に一定の役割を果たしました。

紛争の終結とその後

1979年12月29日、戦闘は終結しました。長期間にわたる紛争は、ローデシアに大きな損害を与え、多数の犠牲者を出しました。紛争終結後、ローデシアはジンバブエ共和国として独立し、黒人多数派による政府が樹立されました。しかし、紛争の爪痕は深く、その後も政治的・経済的な課題が残ることとなりました。ローデシア紛争は、冷戦構造、植民地主義の終焉、民族自決といった複雑な要因が絡み合った歴史的事件であり、現代アフリカ史を考える上で重要な意味を持ちます。

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