ローデシア軍

ローデシア軍：白人支配下の軍隊

ローデシア軍は、ローデシア（現在のジンバブエ）が存在していた時代に組織された軍隊です。ローデシアは、少数派の白人によって多数派の有色人種が支配されるという構造を持っており、兵力不足を解消するために、欧米諸国から多くの傭兵を募集していました。

ローデシア軍の特徴

ローデシア軍は、兵員不足を補うため、アメリカやヨーロッパなどで実戦経験を持つ傭兵を積極的に採用しました。特に、ベトナム戦争を経験したアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド出身の元軍人は高く評価されました。また、コンゴ動乱の元傭兵やフランス外人部隊出身者なども参加していました。

傭兵の募集は公には行われず、雑誌広告などを通じて間接的に行われていました。しかし、これらの傭兵の参加と厳しい訓練により、1970年代には世界でも有数の練度を誇る軍隊となりました。

白人傭兵の中には、ローデシア軍に所属せず、白人農場主の私兵となる者もいました。これは、ローデシア紛争中に地方の農場や村がゲリラ部隊の攻撃を受けることが多かったため、自衛の必要に迫られた結果です。一般の白人市民も自衛用の武器を所持し、主婦が短機関銃を携行することも珍しくありませんでした。

ローデシア軍の戦闘力

ローデシア紛争において、ローデシア軍は、装備や兵力で優位なゲリラ部隊に対し、高い殺傷率を維持しました。特に、高度な訓練を受けた特殊部隊は、ゲリラ部隊の35倍から50倍の殺傷率を誇りました。

この背景には、ローデシア軍の兵士が受けた軍事訓練の質が高いことが挙げられます。古典的条件付けとオペラント条件付けを組み合わせた現代的な訓練は、ゲリラ部隊の兵士が受けていた訓練よりも効果的でした。また、白人兵士は、有色人種に対する人種差別的な思想を持っており、殺人をためらわなかったことも、殺傷率の高さに影響したと考えられます。

1978年3月からは、部隊の機動性を高めるため、歩兵全員に空挺降下の資格取得が義務付けられました。特殊部隊には、迫撃砲や乗馬などの資格も要求されました。ローデシア軍の一般的な訓練期間は21週間で、基礎訓練、歩兵訓練、作戦訓練の3段階に分かれていました。

しかし、白人優位の思想は、ゲリラ対策において重要な住民の支持を得ることを困難にし、アフリカ人市民の反感を招きました。これにより、アフリカ人解放組織は、市民からの支援や兵員確保を容易に行えるようになりました。

ローデシア軍の兵役義務

ローデシア軍は、兵員不足を解消するため、兵役期間を延長し、徴兵制度の対象者を拡大していきました。1955年には4ヵ月半だった従軍期間は、1972年には12ヵ月へと延長されました。1977年には、白人だけでなく、アジア人やカラードの男性にも兵役義務が課せられました。さらに、1978年にはアフリカ人男性に対する徴兵制度も導入されました。

しかし、兵役義務の拡大は、人種を問わず徴兵拒否者を増やす結果となりました。長引く紛争は人々を疲弊させ、厭戦感情を広げていったのです。

ローデシア紛争とローデシア軍

1965年11月11日にローデシアが一方的な独立宣言を行った後、アフリカ人抵抗勢力によるゲリラ闘争が激化し、ローデシア紛争が勃発しました。紛争は1979年12月29日に終結するまで続きました。

ローデシア軍は、4個旅団と1個特殊部隊旅団を編成していました。有名な部隊としては、ローデシアSAS、セルース・スカウツ、ローデシア軽歩兵連隊などが挙げられます。

ローデシア陸軍は、南アフリカ軍と比較して装備が見劣りする傾向がありました。経済制裁により、南アフリカ以外の西側諸国から兵器を導入できなかったため、鹵獲した武器を積極的に使用していました。また、地雷対策を優先した装甲車を多数設計しましたが、工業技術力の低さから、既存の車両を改造して製造するしかありませんでした。

ローデシア軍時代の装備は、ジンバブエ陸軍に継承され、現在でも運用されています。

ローデシア軍を支えた準軍事組織

ローデシア紛争において、ローデシア正規軍の作戦行動を支援するため、様々な準軍事組織が編成されました。INTAF、ブリティッシュ・サウス・アフリカ・ポリスなどがその代表例です。

ローデシア軍関連組織

ローデシア空軍
ローデシア紛争
ローデシア問題
ジンバブエ・ローデシア
ローデシア・ニヤサランド連邦
南ローデシア
北ローデシア
英領ニヤサランド
ジンバブエ国防軍
ローデシア軍の外国人志願兵
* ローデシア紛争におけるアメリカ人志願兵

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