ローマン・ヘルツォーク

ローマン・ヘルツォーク (Roman Herzog)

ローマン・ヘルツォーク（1934年4月5日 - 2017年1月10日）は、ドイツにおける著名な法学者および政治家であり、特に連邦憲法裁判所の長官（1987年 - 1994年）および第7代連邦大統領（1994年 - 1999年）として知られています。彼はドイツキリスト教民主同盟に所属し、政治的なキャリアを通じて、法学と政治学において特筆すべき業績を残しました。

経歴の概要

ヘルツォークはバイエルン州ランツフートにプロテスタントの家庭で生まれ育ちました。父は公務員を経て市公文書館長となり、母は銀行員として働き続けたキャリアウーマンでした。1953年には優秀な成績でアビトゥーアに合格し、ミュンヘン大学にて法学を学び、1958年に法学博士号を取得しました。1957年には司法修習を終え、1961年には国家司法試験に合格しました。

1965年にはベルリン自由大学で政治学及び国法学の教授に任命され、行政大学院やテュービンゲン大学で名誉教授を務めました。1970年にキリスト教民主同盟に入党し、1970年代にはラインラント・プファルツ州およびバーデン・ヴュルテンベルク州で文化・スポーツ大臣、そして内務大臣を歴任しました。

1983年には連邦憲法裁判所の判事に就任し、約30年間にわたり法の解釈と適用において重要な役割を果たしました。彼は第一小法廷の裁判長や副長官を務め、1987年から連邦憲法裁判所長官として数多くの重要な判決を導きました。

連邦大統領としての活動

1994年5月23日、ヘルツォークはCDUの連邦大統領候補に指名され、連邦会議で第7代連邦大統領に選出されました。彼は1994年7月1日に正式に大統領に就任し、在任中にアウシュヴィッツ強制収容所解放記念日を「国家社会主義の犠牲者を追悼する日」と制定しました。1997年には「ドイツは躍度（Ruck）を得て古い制度を乗り越えなければならない」との演説で、大きな影響力を持つ言葉を残しました。

彼の演説はしばしば堅苦しい印象を与え、前任者リヒャルト・フォン・ヴァイツゼッカーに比べて少し硬い言葉遣いが特徴でしたが、それでも彼の発言は政治の重要な一考慮点となりました。1998年の選挙でCDUが野党に転落した際には、再選を目指さず1999年に任期を終えました。

大統領退任後の活動

退任後は、ヨーロッパ会議の座長を務め、欧州連合の基本権憲章作りにも関与しました。また、2003年には社会保険制度改革に関する党の政策諮問機関の委員長を務め、アンゲラ・メルケル政権樹立に寄与しました。ヘルツォークは「暴力に反対する子供のための連合」の代表を務め、子供の権利を守る活動にも力を入れました。

私生活と晩年

2000年には長い伴侶であるクリスティナ夫人を失い、翌年にアレクサンドラ夫人と再婚しました。また、バイエルン放送でのトーク番組の司会も務め、公共の場での活動を続けました。

2017年1月10日、ローマン・ヘルツォークは83歳でこの世を去りました。彼の生涯は、法学と政治における不朽の足跡を刻み続けています。

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