躍度

躍度（加加速度、ジャーク）とは？

躍度、加加速度、あるいはジャーク (jerk) とは、加速度が時間に対してどれだけ変化するかを示す物理量です。単位時間当たりの加速度の変化率と定義されます。加速度は速度の変化率、速度は位置の変化率であることを考えると、躍度は位置の3階微分であるともいえます。

加速度と同様に、躍度もベクトル量です。そのため、大きさ（絶対値）と向きを持っています。多くの場合、躍度の大きさのみを問題にすることが多いです。

躍度は以下の数式で定義されます。

j: 躍度
a: 加速度
* t: 時間

j = da/dt

また、変位（位置）をx、速度をvとすると、以下のようにも表すことができます。

j = d²v/dt² = d³x/dt³

躍度と人体・機械への影響

大きな躍度、つまり加速度や力が急激に変化することは、人体や機械に悪影響を及ぼします。

人体への影響としては、不快感や吐き気、場合によっては身体への損傷などが考えられます。特に、急激な加速度変化に繰り返しさらされるような状況では、健康への悪影響が懸念されます。

機械への影響としては、機械の損傷や故障につながる可能性があります。精密機器などは、小さな躍度変化でも大きな影響を受ける可能性があります。

戦闘機のパイロットは、激しい機動中に非常に大きな加速度変化を経験します。このような状況下では、大きな躍度によってパイロットは失神する危険性があり、その結果として墜落事故につながる可能性があります。そのため、戦闘機パイロットの訓練においては、加加速度への耐性を高めることが重要になります。

躍度を考慮した制御系設計

生体やロボットなどの運動制御においては、躍度を最小にすることが重要な制御目標となります。躍度を小さくすることで、滑らかで自然な動きを実現でき、人体や機械への負担を軽減できます。

制御系の設計において、躍度を最小化するように制御アルゴリズムを設計することで、より安定で効率的な制御系を実現できます。特に、逆モデルを用いた制御においては、躍度を最小化することで、不良設定問題に一意解をもたらす効果があります。

角躍度

角躍度（angular jerk）は、角加速度の変化率です。角加速度とは、回転運動における加速度のことです。角躍度は、回転運動における加速度の変化の激しさを表す指標となります。単位は、国際単位系ではラジアン毎秒毎秒毎秒 (rad/s³)、または度毎秒毎秒毎秒 (deg/s³) が用いられます。数式中では、ギリシャ文字の ζ (zeta) で表されることが多いです。

まとめ

躍度は、加速度の変化率を表す重要な物理量です。人体や機械への影響を考慮し、制御系設計においては躍度を最小化する工夫が求められます。角躍度は、回転運動における加速度の変化を表す量です。これらの概念は、様々な分野で応用されています。

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