ローラ・ジスキン

ローラ・エレン・ジスキン：ハリウッドを彩った女性プロデューサーの軌跡

ローラ・エレン・ジスキン(1950年3月3日-2011年6月12日)は、アメリカ合衆国の映画プロデューサーとして、映画史に名を刻んだ人物です。特に、アカデミー賞授賞式を史上初めて女性単独でプロデュースした功績は、彼女の類まれな才能と手腕を象徴しています。2002年と2007年のアカデミー賞授賞式をプロデュースし、映画業界に多大な影響を与えました。

ジスキンの生い立ちとキャリアのはじまり

カリフォルニア州で生まれ育ったジスキンは、弁護士で心理学者の父を持つユダヤ系の家庭で、恵まれた環境の中で幼少期を過ごしました。南カリフォルニア大学映画芸術学部卒業後、ゲームショーの脚本執筆を経て、プロデューサー、ジョン・ピーターズの個人秘書としてキャリアをスタートさせます。その才能は瞬く間に認められ、ピーターズの製作会社で企画幹部として活躍、1976年の『スター誕生』にも携わりました。27歳頃には脚本家のジュリアン・バリーと結婚、連れ子を含む4人の子供を育てながら、仕事と家庭を両立する生活を送りました。晩年はアルヴィン・サージェントと再婚しました。

インディペンデントからハリウッド大作へ

1984年には、女優サリー・フィールドと共にフォグウッド・フィルムズを設立。『マーフィのロマンス』を製作するなど、独立系プロデューサーとしても成功を収めました。その後も、ケビン・コスナーやショーン・ヤングといった当時無名だった俳優を発掘し、ヒット作を世に送り出しました。才能ある若手俳優をいち早く見抜き、大成させる慧眼もジスキンの持ち味でした。

1990年代に入ると、タッチストーン・ピクチャーズで製作総指揮として参加した『プリティ・ウーマン』の大ヒットにより、ハリウッドのトッププロデューサーとしての地位を確立しました。同時期には『おつむて・ん・て・ん・クリニック』や『ドクター』といった作品にも携わっていますが、これらの作品は『プリティ・ウーマン』ほどの商業的な成功は収めませんでした。一方で、コロンビア映画では『靴をなくした天使』の製作・原案にも参加するなど、多様な作品に携わっています。1994年には短編映画『Oh, What a Day! 1914』で監督デビューも果たしました。

1994年には20世紀フォックス傘下のフォックス2000の社長に就任。在任中は『戦火の勇気』、『素晴らしき日』といった話題作を世に送り出し、スタジオの成功に大きく貢献しました。アカデミー賞7部門にノミネートされた『恋愛小説家』の製作総指揮も務めています。

コロンビア・ピクチャーズとアカデミー賞プロデュース

1999年には、フォックス2000を退社しコロンビア・ピクチャーズへ移籍。2002年には、第74回アカデミー賞の製作総指揮を務め、女性として初めてアカデミー賞授賞式をプロデュースする快挙を成し遂げました。同年公開の『スパイダーマン』の大ヒットも彼女のプロデューサーとしての成功を象徴する出来事でした。その後も『スパイダーマン2』『スパイダーマン3』の製作に携わり、このシリーズの成功に大きく貢献しました。2002年にはエンターテインメント業界での功績に対してクリスタル賞を受賞しています。

乳がんとの闘い

2004年にステージ3の乳がんと診断されたジスキンは、闘病生活を送る傍ら、2008年には、乳がんを含む様々な癌の研究を支援する団体「スタンド・アップ・トゥ・キャンサー（SU2C）」を設立。自身の経験を活かし、がん研究への支援活動にも尽力しました。2011年6月12日、乳がんのため61歳で永眠しました。

ジスキンの功績

ローラ・エレン・ジスキンは、数々のヒット作を世に送り出し、ハリウッドの女性プロデューサーとして道を切り開いたパイオニアでした。彼女の功績は、映画界に多大な影響を与え、多くの女性プロデューサーたちに勇気を与えました。アカデミー賞授賞式を2度プロデュースしただけでなく、独立系プロデューサーとしての実績、そしてSU2Cの設立など、その活動は多岐に渡り、彼女が残した功績はこれからも長く語り継がれていくでしょう。

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