ロールス・ロイス・コーニッシュ

コーニッシュ（Corniche）

コーニッシュは、イギリスの名門自動車メーカーであるロールス・ロイスが1971年から1996年まで生産していた高級2ドアクーペ及びオープンカーです。このモデルは、南フランスの美しい湾岸道路の名前に因んで名付けられ、ロールス・ロイスの中でも特別な地位を確立しました。

初代コーニッシュ

1971年3月、ロールス・ロイスは「シルヴァーシャドウ・ミュリナー・パークウォード・2ドア・フィックスドヘッドクーペ」をコーニッシュに改名し、この名称で販売が開始されました。さらに1996年にかけて、このモデルはロンドンのミュリナー・パークウォードで組み立てられました。シルヴァーシャドウのデザイン要素が取り入れられましたが、ボディ部分は独自性が強く、外観には ロールス・ロイスの威厳が反映されました。

初代コーニッシュには、エンジンとしてロールス・ロイス製のV型8気筒エンジンが搭載されており、その排気量は6,748ccにも達しました。キャブレターの仕様は1975年から変わり、ソレックス製の4バレルキャブレターに置き換えられましたが、1980年にはボッシュ製燃料噴射装置が採用されるまで、SUキャブレターが使用され続けました。

サスペンションには、油圧式セルフレベリングシステムが搭載され、快適な乗り心地を実現しました。初代コーニッシュのホイールベースは当初3,042mmでしたが、その後数回の改良を経て1996年までに3,061mmにまで拡張されました。

コーニッシュII

1986年にはコーニッシュIIが登場し、外装デザインにいくつかの変更が施されました。具体的には、バンパーが鉄製から合金とプラスチック製に替わり、アルミニウム製ラジエータが新たに装備されました。安全性能向上のため、アンチロック・ブレーキ・システムが標準装備されるようになりましたが、エアバッグの設定はありませんでした。このモデルは生産台数1,226台が報告されています。

コーニッシュIII

1989年には、フランクフルトモーターショーでコーニッシュIIIが発表されました。このモデルは、運転席エアバッグが標準装備されたほか、内装の改善が行われ、バンパーもボディ同色仕上げとされました。生産台数は452台という限定的なものでした。

コーニッシュIV

1993年、コーニッシュIVが登場し、その組立工場はミュリナー・パークウォードからクルー工場に移転しました。このモデルでは、リアウィンドウがガラス製に変更されるなど、様々な機能が改良されました。特にエアバッグの数が増え、安全性が向上しました。生産台数は244台で、特別モデルのコーニッシュSも含まれています。

コーニッシュV

2000年1月には、5番目となるコーニッシュVが発表され、高価な価格設定が話題となりました。しかし、同年中にロールス・ロイスはBMWの傘下になり、ベントレーの方もフォルクスワーゲン傘下となったことから、コーニッシュVの生産は2001年に終了しました。

コーニッシュは、その多様なモデル展開と高級感、素晴らしい性能によって、ロールス・ロイスの中でも特別な存在としてその名を刻んでいます。

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