ロールス・ロイス・ファントム

ファントム（Phantom）

ファントムは、ロールス・ロイスの高級車ブランドの中で特に名高いモデルです。その歴史は1929年に遡り、イギリスのロールス・ロイス社によって初代ファントムIが登場しました。このモデルは、名車シルヴァーゴーストの後継として位置付けられました。ファントムは第一世代から第六世代までの6つのバージョンが存在し、1991年まで生産されました。

歴史の流れ

ロールス・ロイス・モーター・カーズは、1998年にBMWに買収され、新たな自動車メーカーとして設立されました。この影響を受けて、2003年にはBMW版のファントムVIIが登場し、ロールス・ロイスブランドの復活を象徴しました。このモデルは非常に高いクオリティを誇り、全世界で特に富裕層に愛されています。

デザインと特徴

ロールス・ロイスのファントムは、パルテノン神殿をモチーフにした大きなフロントグリルが特徴的です。最新のモデルでは、観音開きのコーチドアや、美しい仕上げのインテリアが施されており、細部にわたるこだわりが魅力です。内装には新たにブルー・クロムが採用され、明るい印象を与えます。

ファントムは標準で搭載されるV型12気筒エンジンが特に人気ですが、初期の開発段階では9リットルのV型16気筒エンジンが検討されていました。しかし、高すぎるスペックのためにこの計画はキャンセルされ、試作されたエンジンの一つは現代のファントムに搭載されています。特に俳優ローワン・アトキンソンが所有するファントムでは、このエンジンが用いられ話題になりました。

バリエーション

ファントムは当初、4ドアのサルーンモデルとしての販売が中心でしたが、その後にホイールベースを拡張した「EWB」と呼ばれるモデルや、2ドアのクーペ、オープンカーの「ドロップヘッドクーペ」が追加され、バリエーションは豊富になりました。2016年には生産終了が発表され、最終モデルが2017年1月に製造を終えました。

新しいファントム

2017年7月には新型ファントムVIIIが発表され、ツインターボエンジンへと進化を遂げました。また、静粛性に特化した設計がなされ、特に騒音対策には最新の技術が投入されています。サイレント・シールというタイヤの開発により、高速走行時の騒音が大幅に低減され、世界で最も静かな車の一つと称されています。

高級ホテルでの使用

ファントムは高級ホテルでも多く使用されています。特に香港の「ザ・ペニンシュラ香港」では1970年代からファントムを専用の送迎車として運用しており、14台のモデルを所有しています。これにより、同ホテルは「世界最大のファントム・フリート」と評価されています。マカオの「ルイ13世ホテル」も過去に30台のファントムを注文し、装飾された特別なモデルが話題になっています。

ファントムはその豪華さと高い技術力により、今でも世界中の人々にとって憧れの存在であり続けています。

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