ロ式B型

ロ式B型について

ロ式B型（ろしきびーがた）は、かつて大日本帝国陸軍からの要請を受けて、帝国大学航空研究所が設計し、立川飛行機が製造した高高度飛行機です。この機体は、特に高高度における研究のために開発され、通常の試作機とは異なる特秘扱いに分類されていたため、キ番号は与えられていません。

開発の経緯

ロ式B型の開発は、1938年（昭和13年）に始まりました。陸軍はこの機体を、「研二」として高高度飛行を研究するための試作機の一つとして位置づけました。具体的には、亜成層圏機と成層圏機に関する2つの研究計画が立てられ、第一次案では以下の条件が求められました。

• - 乗員は操縦者2名、研究員3〜4名
• - 与圧気密室および関連設備の整備
• - 高度8,000 mから10,000 mでの5〜6時間の飛行性能

これらの基準を満たすため、立川飛行機が生産していたロ式輸送機を改設計することが最適であると判断されました。1940年春に、技師の木村秀政らが基礎設計に着手し、1941年秋には設計が完了しました。ただし、与圧気密室の開発には困難が伴い、製造はまどろっこしい進行状況となりました。

一号機は1942年7月に完成し、与圧艤装などの改修を経て1943年8月に完成しました。ついに1943年9月に初飛行を果たし、1944年1月までに6回の実験飛行を実施しましたが、その中で最高高度9,000 mを達成しました。二号機は、実験結果を基に与圧艤装を改装し、1944年夏に初飛行しましたが、終戦により実験が続行されることはありませんでした。このように、ロ式B型から得られた技術は、キ74やキ94といった実用の高高度機の開発に寄与しました。

設計について

ロ式B型の機体は、基本的にロ式輸送機をベースに設計されていますが、胴体、エンジン、艤装はすべて新たに設計されています。胴体は、キ77長距離機と同じく段なし機首を採用し、与圧キャビンを備えていました。エンジンについては、一号機に三菱の「瑞星」エンジンに二速過給器を組み合わせた「ハ102」が搭載され、二号機には与圧高度を引き上げた改良型「ハ102特」が装備されました。

与圧艤装は、エンジンナセル側から新鮮な外気を取り入れ、ルーツ型圧縮機で圧縮して自動調圧を行う仕組みです。亜成層圏を飛行する一号機では必要な与圧が達成されたものの、成層圏を飛行する二号機では与圧が不足し、対策として与圧キャビン内に液体酸素を補給する方法が用いられました。

諸元

一号機の主要スペック

• - 全長：11.76 m
• - 全幅：19.96 m
• - 全高：3.46 m
• - 主翼面積：51.2 m²
• - 自重：5,157 kg
• - 全備重量：6,740 kg
• - エンジン：三菱 ハ102（空冷複列星型14気筒二速過給機）×2基
• - 最大速度：475 km/h
• - 巡航速度：360 km/h
• - 実用上昇限度：10,000 m
• - 航続時間：5.6時間
• - 乗員：6名

参照文献

• - 野沢正『日本航空機総集 立川・陸軍航空工廠・満飛・日国篇』出版協同社、1980年
• - 小川利彦『幻の新鋭機 逆転を賭けた傑作機』光人社、2003年

ロ式B型は、その高高度飛行の研究と技術が、後の航空機開発に大きく寄与したことから、日本の航空史において重要な位置を占めています。

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