ワイルド・ハニー

『ワイルド・ハニー』は、ザ・ビーチ・ボーイズが1967年に発表したアルバムです。前作『スマイリー・スマイル』からわずか3ヶ月後にリリースされました。

制作の背景

本作は、カール・ウィルソンが主導権を握って完成させた作品として知られています。当時、ブライアン・ウィルソンはノイローゼ状態にあり、グループのリーダーシップに興味を失っていました。しかし、アルバムの楽曲の多くは、マイク・ラヴとの共同作業によって生み出されています。彼らが緊密に作曲を行ったのは『サマー・デイズ』以来のことでした。

スタジオでは、ブライアンに意見が求められることもありましたが、他のメンバーが録音に積極的に参加するようになったのが大きな変化でした。「すてきなブーガルー」は、ブライアンが作曲に関わらなかった初のヴォーカル入りのオリジナル曲です。また、本作では、カール・ウィルソンがリード・ヴォーカルを多く担当しています。

楽曲について

興味深い楽曲の一つに「ママ・セズ」があります。これは、未発表アルバム『スマイル』のために録音された「ヴェジタブル」の一部でした。後に日の目を見ることになる『スマイル』セッションの最初の音源です。

ジャケット写真

アルバムのジャケット写真は、特注で製作されたステンドグラスを実際に撮影したものです。このステンドグラスは、ブライアンの自宅スタジオに設置され、DVD『アン・アメリカン・バンド』の「タイム・トゥ・ゲット・アローン」録音シーンの背景に登場しています。

評価

『ローリング・ストーン』誌が選んだ「歴代最高のアルバム500選」において、本作は410位に選ばれています。

ステレオ・ヴァージョンについて

『ザ・ビーチ・ボーイズ・トゥディ』から本作までは、ブライアンの右耳の聴力の悪化により、発売当時、アルバムはモノ・ミックスのみで制作され、ステレオ盤は擬似ステレオでした。

2012年に『サーフィン・U.S.A.』から『スマイリー・スマイル』までがモノ＆ステレオの２in１仕様でCD化された際も、『ワイルド・ハニー』は除外されていました。しかし、2017年に発売された本作と同時期のセッション音源などをまとめたレア・トラック集『サンシャイン・トゥモロウ～ビーチ・ボーイズ1967』に、新たにリミックスされたアルバム全曲のステレオ・ヴァージョンが初めて収録されました。「ワイルド・ハニー」「カントリー・エアー」「ダーリン」「風を吹かせろ」は、コンピレーション・アルバム収録時にステレオ化されていましたが、『サンシャイン・トゥモロウ』ではリミックスされています。

ただし、「すてきなブーガルー」は、ミックスの際にオルガンをモノ・マスターに直接ダビングした都合により、間奏以降がモノラルのままです。また、「ママ・セズ」もマルチ・トラック・テープが発見されなかったため、モノラルで収録されています。

収録曲

1. ワイルド・ハニー - Wild Honey
2. うれしくないかい - Aren't You Glad
3. 愛するあの娘に - I Was Made to Love Her
4. カントリー・エアー - Country Air
5. ア・シング・オア・トゥー - A Thing or Two
6. ダーリン - Darlin'
7. アイド・ラヴ・ジャスト・ワンス・トゥ・シー・ユー - I'd Love Just Once to See You
8. ヒア・カムズ・ザ・ナイト - Here Comes the Night
9. 風を吹かせろ - Let the Wind Blow
10. すてきなブーガルー - How She Boogalooed It
11. ママ・セズ - Mama Says

ボーナス・トラック

* 心には春がいっぱい - Their Hearts Were Full of Spring

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