ワックスホーの虐殺

ワックスホーの虐殺

ワックスホーの虐殺、またはワックスホーの戦いは、1780年5月29日にサウスカロライナ州で発生しました。この戦闘はエイブラハム・ビュフォード大佐が指揮する大陸軍と、バナスター・タールトン中佐率いるイギリス軍の間で繰り広げられました。この事件はアメリカ独立戦争の中でも特に残忍な戦闘の一つとされ、南部の戦局に大きな影響を与えました。

背景

ビュフォード大佐は、350名から380名のバージニア大陸軍を率いて南部のチャールストンへ救援に向かう途中でした。チャールストンが既にイギリス軍に占拠されていることが判明し、彼は撤退を余儀なくされます。一方、タールトン中佐はジョン・ラトリッジ南部植民地知事がビュフォードと共に行動しているという情報を得て、追跡を開始しました。タールトンの部隊は竜騎兵約130名、騎乗歩兵約100名を含む230名で構成されていました。

戦闘の経過

5月29日、タールトンはビュフォード隊に追いつき、攻撃を開始します。タールトンはビュフォードに降伏を要求しましたが、ビュフォードはこれを拒否し、「最後の極みまで守り抜く」と宣言しました。しかし、それにもかかわらずビュフォードは戦闘の準備を怠り、タールトンの攻撃を受けることになりました。ビュフォードは敵が近づくまで待って発砲の命令を出しましたが、これは効果的ではなく、彼の部隊は混乱し、ほとんど瞬時に崩壊しました。

戦闘の結果、大陸軍は113名が殺され、147名が負傷、そして2門の砲と26両の輜重車が捕獲されました。一方のイギリス軍では、戦死者は5名、負傷者は12名、馬の損失もありました。ビュフォード自身は逃れたものの、彼の部隊は壊滅的な損失を被りました。

戦闘後の影響

ワックスホーの虐殺の後、タールトンの部隊による降伏者への無慈悲な攻撃が大きな議論を引き起こしました。ビュフォードの副官やイギリス軍の兵士の証言によると、降伏を示したバージニア兵がサーベルで無惨に殺されたといいます。タールトンはこの虐殺を後に認めており、その結果、南部の支持がイギリスから愛国者側に移ることになりました。

虐殺のニュースは中立的だった多くの人々を愛国者側に引き寄せ、「タールトンの慈悲を！」というスローガンが民衆の意識を変えるきっかけとなりました。この事件は、ノースカロライナで後に行われるキングスマウンテンの戦いへと繋がり、愛国者たちの大勝利をもたらしました。

映像作品

2000年の映画『パトリオット』では、メル・ギブソンが演じるキャラクターの息子がワックスホーの虐殺で負傷する場面があります。このシーンは映画内では描かれませんが、重要な背景として位置づけられています。

結論

ワックスホーの虐殺は、アメリカ独立戦争における重要な出来事として記憶され、戦局を転換させるきっかけとなりました。この戦闘を通じて、南部における人々の立場は大きく変わり、その後の戦争の行方にも影響を及ぼしました。

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