ワニグチモダマ

ワニグチモダマ（鰐口藻玉）

概要

ワニグチモダマ（学名：Mucuna gigantea）は、マメ科のトビカズラ属に属する常緑のつる性植物です。この植物は、特徴的な種子の形状から来る和名が印象的で、主に南西諸島や東南アジア、オーストラリアに分布しています。成長環境としては、主に海岸近くの林縁に生息することが多いです。

特徴

ワニグチモダマの葉は、3出複葉という特徴を持ち、カショウクズマメに似た外観をしているものの、ほとんど無毛です。各小葉のサイズは約10～15cmで、やや厚みのある革質の質感と光沢を持っています。葉の形状は、頂小葉が卵状楕円形、側小葉がやや歪んだ卵形であり、左右対称性に欠けた姿が見受けられます。また、若い葉は淡い黄色がかった色調を示し、一層の美しさを引き立てています。

花は秋から春の期間中に咲き、特に1月から3月の間に見られます。花序は細長い柄から下垂し、淡黄緑色の花を約10個ほどつけるのが特徴です。これらの花は、見る者に鮮やかな印象を与え、特に花期にはその美しさが際立ちます。

果実は豆果と呼ばれ、長楕円形で長さは4～14cmに及び、平滑な表面を持ち、翼があるのが特徴です。種子は肉厚で、直径2～3cmの円形をしており、特に長い臍が外周の約3/4に達する形をしているため、一際目立ちます。この種子は、モダマと同様に海流によって広く分散される能力を持っています。

分布と生育環境

ワニグチモダマは、主に日本国内では奄美大島、徳之島、沖永良部島、沖縄島、宮古島、石垣島、小浜島、新城島、上地島、西表島、小笠原諸島に分布しています。そのほかにも、先島諸島や今帰仁村の海岸でも少数が自生していることが確認されています。

国外に目を向けると、台湾や中国の海南島、さらにはインドや東南アジア、太平洋のいくつかの島々、さらにはオーストラリアにも広がっています。これらの地域では、通常、海岸に生える林縁の周辺でよく見られます。

保存状況

日本の環境省のカテゴリーでは準絶滅危惧（NT）に指定されており、沖縄県においても同様の評価がされています。また、竹富町においてもこの種は希少な野生動植物として保護されています。

参考文献

本記事では、ワニグチモダマに関する情報を以下の文献に基づいてまとめました：

• - 片野田逸朗『琉球弧・植物図鑑 from AMAMI』南方新社、2019年。
• - 米倉浩司; 梶田忠『ワニグチモダマ「BG Plants 和名－学名インデックス」（YList）』2003年。
• - 林将之; 名嘉初美『沖縄の身近な植物図鑑』ボーダーインク、2022年。
• - 大川智史; 林将之『琉球の樹木』文一総合出版、2016年。
• - 立石庸一『朝日百科　植物の世界』、朝日新聞社、1997年。
• - 沖縄県『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物（レッドデータおきなわ）第3版-菌類編・植物編-』2018年。

外部リンク

• - ワニグチモダマ 野の花賛歌
• - ワニグチモダマ うちなー通信
• - ワニグチモダマ 国立科学博物館 琉球の植物データベース

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